【記事54620】今も拡大…大分・豊後大野の地割れは大地震の予兆なのか(日刊ゲンダイ2017年5月25日)
 
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今も拡大…大分・豊後大野の地割れは大地震の予兆なのか

 大分・豊後大野市の地割れが拡大し、不安の声が上がっている。地割れが見つかったのは、同市朝地町綿田地区。縦約400メートル×横約300メートルの範囲で81カ所(22日午後5時現在)に及び、地割れは棚田、道路や住宅の敷地内まで広がっている。1時間に数ミリペースで拡大し続けているというから、不気味だ。
 「昨年4月の熊本地震以前は、地割れが起きたことがなかった。専門家による調査を行い、原因を解明しているところで、まだ復旧作業ができる状態に至っていません。今は2世帯4人が避難中。この地区の別の場所では地滑りが起きているので、不安の声が上がっています」(同市総務課担当者)
 同地区では1964年に大雨で土砂崩れが起きている。とはいえ、今月は特に降水量は増えていない。
 「それほど雨が降っていないのに地割れが進むのは不思議です。ただ、豊後大野市は、阿蘇が過去に噴火して“火砕流が厚く降り積もったところ”なので崩れやすい地質ではあります。熊本地震で被害が多かったのも、阿蘇からの火山灰が降り積もっていたことに起因している。特に熊本地震が起きてから、九州では1年で約13万回の地震が起きているため、その影響もあるでしょう」(武蔵野学院大特任教授の島村英紀氏=地震学)

■断層が動き続けている可能性も

 地震の前触れか? なんて声も聞かれるが、その可能性はないのか。
 「引き金になる可能性は否定できません。地割れは、日本列島を貫く最大の活断層、中央構造線上で起きています。これは熊本地震で刺激されたといわれている活断層。阿蘇山にも影響しています。地割れが拡大し続けるのは、断層が動き続けているからという可能性もある。いずれにしても注意は必要でしょう」(島村英紀氏)
 電気通信大名誉教授で、早川地震電磁気研究所代表の早川正士氏(電磁理工学)も予測するウェブサービス「予知するアンテナ」では、先週から九州―四国地方に警告を出している。
 「九州の観測点で電磁気現象を調査したところ、地割れエリアの電離層に異常が出ています。地下で地殻変動が起きているということで、地震の前兆は出ています。このエリアは中央構造線に近いため、本州も含め沿線上の地域は、しばらくは注意が必要です」(早川正士氏)
 中央構造線断層帯は、九州から茨城県付近まで続いている。

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