【記事48460】断層破壊防いだ可能性=阿蘇山マグマだまり−熊本地震で現地調査・京大(時事通信2016年10月21日)
 
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断層破壊防いだ可能性=阿蘇山マグマだまり−熊本地震で現地調査・京大

 4月16日に発生した熊本地震の「本震」で、九州東部の断層が破壊されるのを阿蘇山のマグマだまりが防いだ可能性が高いと、京都大の林愛明教授らの研究グループが発表した。論文は20日付の米科学誌サイエンス(電子版)に掲載された。
 論文は6月に書かれ、地震によって阿蘇山の噴火が早まる危険性を指摘していた。今月8日には阿蘇山の中岳第1火口で36年ぶりに爆発的噴火が発生し、研究グループは「今回の噴火と地震が直接関連しているか明らかではないが、論文の提言はある程度妥当性があった」としている。
 熊本県では4月14日夜と同16日未明に震度7の地震が発生した。研究グループは直後から現地調査を続け、阿蘇山周辺まで延びる全長約40キロの新たな断層を発見した。
 震源の熊本県南西部では、これまで知られていた布田川・日奈久断層帯に沿って地表が横ずれしていたが、阿蘇カルデラ西縁部では長さ約9キロにわたって上下約2メートルの落ち込みがあることも分かった。カルデラの東側では新たな断層は確認できなかった。
 研究グループは、横ずれから落ち込みに変わったのは阿蘇カルデラ北西部の地下約6キロにあるマグマだまりによって、地震のエネルギーの方向が変化したためと分析。九州東部にエネルギーが波及するのを、マグマだまりがある程度防いだ可能性があると結論付けた。
 地震によってマグマだまりにエネルギーが蓄積されたり、新たなマグマの通り道ができたりした可能性があり、噴火リスクが高まったとも指摘した。
 林教授は「地震と火山マグマの関連性が示唆された。マグマだまりがあったから、大分県側まで断層が延びなかったのではないか」と話している。

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