[2011_12_03_01]八戸港の水深 津波で変化 防波堤先端15メートル深く(東奥日報2011年12月3日)
 東日本大震災の津波の影響で、八戸港の水深は、防波堤の先端部周辺などで海底が削られ約15メートル深くなるなど、大きな変化が生じていたことが2日、第2管区海上保安本部(塩釜)の調査で分かった。岸壁前面は土砂が新たに堆積し、水深が広範囲に約1メートル浅くなった場所があった。海上保安庁は、今回の調査結果を基に八戸港の海図を大幅に改訂し、2012年1月に刊行する予定。            (岡田圭逸)
 八戸港の海図は10年10月に改訂したばかりで、震災がなければ数年間は改訂の必要がなかった。震災の爪痕は海底にも深く刻まれており、今回は過去に例のない大規模な改訂になる。
 調査は、海上保安庁の調査船「天洋」の測深機や観測機器を使って7〜8月に実施。航路・主要岸壁付近の水深の変化や障害物の状況、海流の流れなどを詳しく調べた。
 中央第1防波堤と同第2防波堤の間では、震災前に14〜15メートルだった水深が29〜20メートルと、約15メートル深くなっていた。津波の激しい水流が防波堤の間を抜ける際、さらに威力を増したとみられる。
 一方、河原木地区と白銀地区の岸壁前面は広範囲にわたり、水深が震災前より約1メートル浅くなっていた。一部では、約2メートル浅くなった地点もあった。
 また、八太郎地区を中心に多数の障害物も確認された。障害物の個数の集計や中身の特定はできていない。
 第2管区海上保安本部の担当者は「(船舶向けに)『水路通報』を従来以上に細かく発表しているので、確認して安全航行に努めてほしい」と呼び掛けている。
 八戸港内では、津波により海底が深く削り取られる「洗掘(せんくつ)」と呼ばれる現象が発生していたことが、国土交通省の調査で既に判明していた。
 海底に沈んだ船や自動車、貨物などの障害物については国土交通省と県が6月までに撤去作業を行い、当面の航路を確保していた。
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