[2013_04_19_02]東通原発断層「固結は500万年以前」 東北電、活動性を否定 常用施設下の調査検討(東奥日報2013年4月19日)
 
 東北電力東通原発の敷地内断層をめぐり、東北電は18日の原子力規制委員会評価会合で、主要な断層が地下深くで500万年以前に固まっているとの調査結果を示し、耐震設計上考慮すべき活断層の存在をあらためて否定した。専門家からは原子炉建屋など重要施設付近にある小断層の調査デー夕不足を指摘する意見が相次ぎ、同社は追加調査を検討する意向を示した。
 都内で開かれた同日の会合で、同社は「原発敷地内の断層面は500万年以前に固結・岩石化し、これ以降に動いていないと考える」と説明。同社は、少なくとも活断層と判定される13万〜12万年前以降に動いた形跡はない−としてきたが、今回初めて具体的な年代を提示した。
 また、これまでの会合で矛盾を指摘されていた「地層のずれ、たわみは岩盤が水を吸って膨張する『膨潤』が原因」との見解に関しては、米コロラド州にある類似事例の文献を提示したほか、同社側の見解を妥当とする専門家3人の意見書も付け加えて主張を補強した。
 前回会合でさらなる検討が必要とされた原水の取水路の直下にあ子炉建屋、非常用冷却る小断層「f−1」「f−2」については、設置許可時の資料などを基に「活動性はない」とした。だが専門家側は「判断するにはデータが足りない」「安全重視に立つことを念頭に、さらに調査すべきだ」といった意見に終始し、最後まで議論はかみ合わなかった。
 終了後の会見で同社の梅田健夫副社長は一「先生方との問で見解が平行線をたどっている。解釈の違いを埋めるために、さらに調査したい」と述べ、12月まで実施する追加調査の中でデータ拡充に取り組む考えを示した。さらに梅田氏は「現時点で結論を出さず議論を続けてほしい」と規制委側に求めた。
 規制委は今回の東北電の説明を踏まえ、「活断層の可能性が高い」とした報告書案についてさらに議論。調査団5人以外の専門家から意見を聞く「ピアレビュー(査読)会合」を経て、報告書を取りまとめる。
   (阿部泰起)
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