[2016_06_10_03]福井3原発、「連続大地震想定せず」 弁論で滋賀の住民側主張(京都新聞2016年6月10日)
 
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福井3原発、「連続大地震想定せず」 弁論で滋賀の住民側主張

 滋賀県の住民らが福井県の若狭湾周辺にある大飯、高浜、美浜の3原発の再稼働差し止めを関西電力に求めた訴訟の第11回口頭弁論が10日、大津地裁(山本善彦裁判長)であった。原告の住民側は、震度7の揺れを連続して観測した熊本地震に触れ、各原発は2度の大地震を想定した設計ではなく、安全性が確保されていないと主張した。
 熊本地震では4月14日に前震、同16日に本震があり観測史上初めて同じ場所で震度7を記録した。配管系など原発の耐震重要施設については従来、機能を損なわないとの条件付きで地震による変形が認められてきたが、原告側は「1度目でひずみが生じ、間をおかずに地震が起きた場合、機能を保てるのか。熊本地震は原発の耐震設計に盲点があることを強く印象づけた」と強調した。
 避難計画についても、熊本地震直後に建物倒壊の危険性から屋外で暮らす人が続出したことを挙げて、問題点を指摘。若狭湾周辺にある一時集合場所や屋内退避施設の耐震診断が不十分で、地震と放射能漏れ事故の複合災害に対応できないと主張した。
 関電側は今回、計480ページに上る膨大な準備書面を提出。高浜原発周辺の地滑り対策を説明するなど、住民側のこれまでの指摘に反論した。熊本地震については、9日の会見で「(益城町では)地盤の影響で、地中の記録と比べて揺れが増幅していた。地震の評価手法を変えるものではなかった」との見解を示しており、今後の訴訟でも反論する方針を示した。
 次回期日は9月30日。

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