[2018_01_19_04]溶融燃料、2号機でも確認 福島第1原発(日経新聞2018年1月19日)
 
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溶融燃料、2号機でも確認 福島第1原発

 東京電力は19日、福島第1原子力発電所2号機の原子炉格納容器を調査し、底付近で核燃料の部品の一部や溶けた核燃料とみられる堆積物を撮影したと発表した。2号機で溶融燃料を確認したのは初めて。原子炉内にあった核燃料が圧力容器を突き破って底部まで落下していることを裏付けた。
 19日に格納容器の底から1メートル前後の高さで撮影した画像には、小石や粘土状の堆積物が広がる様子が写っていた。同日記者会見した東京電力の木元崇宏原子力・立地本部長代理は堆積物について「溶融燃料と思って間違いないのではないか」との見解を示した。
 2号機は1、3号機と比べ溶融燃料が圧力容器内部に多くとどまっていると推定されている。だが撮影画像からは「燃料集合体」と呼ぶ核燃料を束ねる部品の一部が落下していることなどが判明した。
 燃料集合体の大きさは10〜15センチ程度で、圧力容器には少なくとも燃料集合体が抜け落ちるだけの大きな穴が開いたと推測できる。北海道大学の奈良林直特任教授は「圧力容器上部にあった部品も落ちており、溶融燃料の多くが下に落ちていると見て間違いないだろう」と話す。
 東電が調査に使ったのは長さが16メートルまで伸縮するパイプの先端からカメラや放射線量計をつり下げる釣りざお状の装置。格納容器側面から入れ、パイプを原子炉の真下まで伸ばした後、ケーブルを垂らして撮影した。
 2号機は2017年1〜2月にもロボットなどを使って内部を調べた。格納容器内の金属製の足場の一部が壊れて脱落し、下から水蒸気が立ち上る様子などが分かった。今回は脱落部分からさらに底をめざしカメラを進めた。
 東電は19年度に1〜3号機の中から、取り出しに着手する号機と詳細な工法を決める予定。今回の結果は「重要な情報として使える」(木元原子力・立地本部長代理)という。
 11年3月の福島第1原発事故では1〜3号機で炉心溶融が起きた。3号機は17年7月の調査で溶融燃料の可能性が高い溶融物を確認した。1、2号機でははっきりと確認できていなかった。
 東京工業大学の小原徹教授は「今後は溶融燃料のサンプルを取り出して分析することが課題になる。溶融燃料の組成や硬さなどから、取り出しが必要な機器を具体的に検討することが重要だ」と語る。

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