[2018_02_22_02]3割が指示待たずに避難 柏崎原発事故時 半径5〜30キロ圏(新潟日報2018年2月22日)
 
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3割が指示待たずに避難 柏崎原発事故時 半径5〜30キロ圏

 東京電力柏崎刈羽原発の重大事故時の対応などを周辺住民に尋ねた民間研究機関の意識調査で、原発から半径5〜30キロ圏の住民の3分の1が、国の避難指示が出る前に避難すると回答していたことが21日、分かった。国の指針では5〜30キロ圏の住民はすぐには避難せず、屋内にとどまることになっているが、その大前提が崩れかねない実態が明らかになった。
 原発事故時の避難計画を巡っては、その実効性について地元住民から疑問の声が上がっている。県も安全な避難方法について有識者による検証を進めているが、今回の調査は国の指針に基づく現行の避難方法に疑問を突き付けた格好だ。
 調査は、原発事故の避難問題に詳しい広瀬弘忠・東京女子大名誉教授(災害・リスク心理学)が代表を務める「安全・安心研究センター」(東京)が昨年11〜12月に行い、原発から30キロ圏の6市村の計360人から回答を得た。
 国や県の指針では、原発から半径5キロ圏を「即時避難区域」(PAZ)、5〜30キロ圏を「避難準備区域」(UPZ)と位置付ける。重大事故が発生した場合、5キロ圏は放射性物質の放出前に避難を開始し、5〜30キロ圏は屋内に退避することを原則としている。
 しかし、調査結果では避難するタイミングについて、5〜30キロ圏は「ただちに避難をはじめる」が15・6%で、「事故情報を確認して避難指示が出る前に避難する」は18・9%となった。合わせて34・5%が避難指示が出る前に避難する考えを示した=グラフ(1)参照=。
 広瀬氏は「5〜30キロ圏の住民の多くが避難指示の前に避難するならば、政府のシナリオは崩れる。車で大混雑して混乱を招き、想定する避難の実現は難しいだろう」と指摘した。
 一方、柏崎刈羽原発で事故が起きた際に、国の指針に沿った形で安全に避難することが難しいと考える割合は約8割に上った=グラフ(2)参照=。内訳は「安全に避難できない」が18・1%、「おそらく安全に避難できない」が59・3%。5キロ圏で「安全に避難できない」としたのは23・9%に上った。
 調査結果は近く、月刊誌「科学」(岩波書店)で発表される。

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