[2018_04_10_02]50年エネ戦略 原発新増設言及せず 「脱炭素の選択肢」(毎日新聞2018年4月10日)
 
参照元
50年エネ戦略 原発新増設言及せず 「脱炭素の選択肢」

経産省の有識者会議、提言取りまとめ

 2050年に向けた国の長期的なエネルギー戦略を議論する経済産業省の有識者会議は10日、提言を取りまとめた。温室効果ガス削減に向けて太陽光や風力発電などの再生可能エネルギーを「主力電源」とし、原発は「可能な限り依存度を低減」しつつも、二酸化炭素(CO2)をなくす脱炭素社会の実現のため「選択肢」として維持するとした。原発の新増設や建て替えには言及しなかった。
 有識者会議は世耕弘成経産相の私的懇談会「エネルギー情勢懇談会」。地球温暖化対策の国際的な枠組み「パリ協定」に基づき、日本は50年に温室効果ガスを8割削減する目標を掲げており、その達成のための長期戦略を議論してきた。30年までの国のエネルギー政策を定めた「エネルギー基本計画」が今夏改定される際、提言をもとに50年までの長期戦略が初めて盛り込まれる。
 現行のエネルギー基本計画では、再エネ22〜24%▽原発20〜22%▽火力発電56%−−など電源別の構成割合を明記している。しかし、提言では将来の世界のエネルギー情勢や技術革新を予想するのは難しいとして、「あらゆる選択肢を追求する全方位シナリオを採用することが妥当」と指摘。再エネや原発など電源別の構成割合の数値目標は示さなかった。
 提言は、再エネについて、主力電源化を目指す一方、天候などによる発電量の変動を補完するため、蓄電池や蓄電のための水素技術の開発などが必要だと強調した。またコストを引き下げ、固定価格買い取り制度による補助がなくても採算が合うようにすることを目標に掲げた。
 原発については、東京電力福島第1原発事故を踏まえ、社会的信頼の回復に向け「人材・技術・産業基盤の強化にただちに着手」する必要性を指摘。再エネの普及を前提としつつも、原発依存度を低減するとしている現行方針を堅持した。火力発電は温室効果ガスの排出量がより少ない天然ガス発電に移行するとした。【和田憲二】

KEY_WORD:FUKU1_: