[2018_05_31_07]再生エネ技術こそ輸出を 日立の英原発計画 地元住民団体に聞く(東京新聞2018年5月31日)
 
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再生エネ技術こそ輸出を 日立の英原発計画 地元住民団体に聞く

 日立製作所による英国への原発輸出計画に反対するため来日した地元住民団体メンバーが本紙のインタビューに応じた。教師のリンダ・ロジャーズさんは「原発は島の環境を汚染する心配がある上、再生可能エネルギーに対して価格競争力を失っており英国民の重荷になる」と指摘。「日本政府と日立は風力など英国の未来につながる技術を輸出してほしい」と訴えた。
 日立が原発を計画するのは英中西部・ウェールズのアングルシー島。紀元前の石の遺跡が有名な保養地で、観光業や酪農が主な産業だ。ロジャーズさんは「使用済み核燃料が敷地内に長期保管され、農業や観光への影響が心配される」と主張。事故発生時の避難態勢にも「島と本土を隔てる海峡には橋が二本架かっているだけ。渋滞で大混乱に陥る」と懸念を表明した。
 計画は日本政府が後押しし、二基で三兆円規模とされる事業費には、日英政府系機関の資金投入が想定されている。英政府は市場価格より割高で電気を買い取ることを検討しているが、ロジャーズさんは「再生可能エネルギーの方が安くなっているのに、原発を税金で支えるのはおかしい。電気を高く買えば(転嫁され)一般の人の生活が苦しくなる」と指摘する。
 元獣医師のロバート・デイビーズさんは「原発はもう過去の技術。英国でも風力発電が急増しており、日本政府と日立は自然エネルギーのシステムにこそ投資してほしい」と主張した。
 住民団体は「PAWB」で、この原発計画が浮上していた一九八八年に設立。メンバー三人が五月下旬に来日し、経済産業省などを訪れ原発輸出を公的資金で支援しないよう求めた。 (聞き手・妹尾聡太、伊藤弘喜)


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