[2018_10_16_05]<原発事故>東電の武藤氏、繰り返し「津波対策先送りない」(毎日新聞2018年10月16日)
 
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<原発事故>東電の武藤氏、繰り返し「津波対策先送りない」

 ◇強制起訴公判で、被告人質問のトップバッター

 「『先送り』と言われるのは大変心外」。東京電力福島第1原発事故を巡る強制起訴公判で、被告人質問のトップバッターとなった武藤栄元副社長(68)は時折語気を強め、津波対策の「先送り」への反論を繰り返した。
 東京地裁104号法廷。午前10時前から始まった公判にダークスーツ姿で臨んだ武藤元副社長は冒頭、「亡くなられた方々やご遺族、避難を強いられている多くの方々に、言葉で表せないご迷惑をおかけしていることを深くおわび申し上げる」と謝罪。証言席から立ち上がって「誠に申し訳ございません」と深々と頭を下げた。
 弁護人側の質問には、よどみなく発言。東日本大震災の3年前に津波対策を「先送り」したのかと何度問われても、「全く(そんな事実は)ない」と一貫して否定した。
 一方で、続いて検察官役の指定弁護士が当時の部下との会話や社内での会議内容の詳細を尋ねると、「記憶がない」などと主張。発言を遮られ、不満な様子で腕を組んで息を吐く場面もあった。
 これまでの公判では、2008年2月に3被告も出席した「御前会議」で津波対策が報告され、実施方針が了承されたとする別の元幹部の供述調書が読み上げられたが、武藤元副社長は「情報共有の場。津波対策の説明は受けていない」と否定した。
 法廷では、勝俣恒久元会長(78)と武黒一郎元副社長(72)の2被告もやり取りを見守った。2人への質問も今後、行われる。【柳楽未来、蒔田備憲】

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