[2020_07_30_08]再処理工場 規制委審査書要旨(東奥日報2020年7月30日)
 
 原子力規制委員会が29日に決定した日本原燃使用済み核燃料再処理工場の審査書の要旨は次の通り。

 技術的能力

 専門知識や技能を有する技術者が確保されている。工場の運転経験がある。運転や保守などの遂行に必要な品質保証活動の体制は適切。

 使用済み燃料の冷却機関の見直し

 切断するまでの燃料の冷却期間を4年以上としていたが、15年以上に変更した。見直しは妥当。

 火災

 多様な化学薬品を取り扱う工場の特徴を考慮した上で、感知・消火設備などの設計方針は防護基準を踏まえたものになっている。

 基準地震動

 震源を特定した場合の基準地動は最大加速度700ガル(水平方向)、震源を特定しない場合は620ガル(同)。最新の科学的・技術的知見を踏まえ、適切に策定されている。
 耐震重要施設を設置する地盤に確認される断層は将来活動する可能性のある断層に該当しない。

 津波

 耐震重要施設などが設置される敷地には津波は到達しないと確認した。

 竜巻

 国内で過去に発生した最大の竜巻などを考慮し、風速を最大で秒速100メートルと設定。施設の安全機能が損なわれないような設計方針であると確認した。

 火山

 原燃は工場に影響を及ぼしうる21火山を抽出。工場の運用期間中に巨大噴火の可能性は十分小さく、火砕流などの火山事象が影響を及ぼす可能性は十分小さいと評価した。

 航空機落下

 各種航空機の落下確率は基準を超えず、追加的な防護措置は不要と確認した。

 重大事故拡大防止

 連鎖的な核分裂反応が起きる臨界事故や、溶液や廃液が沸騰して放射性物質が拡散する事故、溶液の水分が放射線分解されて発生した水素による水素爆発なとを想定し、対策を審査した。

 臨界事故

 臨界を止めるために中性子吸収材を機器に供給する。外部への放出を低減するため、放射性物質を貯留槽に閉じ込める。対策は有効と判断した。

 溶液や廃液の沸騰

 溶液や廃液を冷やす機能が失われた場合は、代替設備の可搬型ポンプなどで注水。蒸気を液体にして回収する機器を設置し、フィルターで放射性物質を低減する。対策は有効と判断した。

 水素爆発

 貯槽などの水素を追い出す機能が失われた場合は、代替設備で空気を供給して追い出し、水素濃度の上昇を抑える。対策は有効と判断した。

 放射性物質の放射抑制

 重大事故の際に建屋に放水し、工場外への放射性物質の放出を抑制するための大型ポンプ車など、設備や手順が整備され、基準に適合する。

 緊急時対策所

 耐震構造の緊急時対策所を制御室と離れた位置に設置。遮蔽(しゃへい)や換気の設備で、要員の被ばく線量を抑える。適切に整備する方針だと確認した。

 大規模な自然災害やテロ対策

 自然災害や大型航空機衝突などによる工場の大規模損壊に備え、手順書や体制、資機材が適切に整備されると確認した。

 審査結果

 原燃の申請は新規制基準に適合していると認められる。
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