[2020_09_26_05]原発再稼働に影 信頼回復遠く、改革道半ば 金品受領発覚1年・関西電力(時事通信2020年9月26日)
 
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原発再稼働に影 信頼回復遠く、改革道半ば 金品受領発覚1年・関西電力

 関西電力の金品受領問題が発覚して1年。関電は不正を生んだ企業風土を根底から変えるべく、ガバナンス(企業統治)改革に力を入れている。しかし、子会社で金品受領が新たに発覚するなど信頼回復へ道半ばだ。金品受領問題は原子力発電所の再稼働にも影を落としており、関電の将来には暗雲が垂れ込めている。
 関電は6月、前経団連会長の榊原定征氏が定時株主総会を経て会長に就任。さらに、社外取締役の経営監督権限が強い指名委員会等設置会社に移行し、外形的には企業統治の強化が図られた格好だ。森本孝社長も「もう一度社員が自信を持って仕事ができる会社にしていきたい」と強調。原発立地地域では、原発に対する理解を求める戸別訪問も進めている。
 だが、株主や原発立地自治体から信頼を完全に取り戻すには程遠いのが現状だ。株主総会の取締役選任議案で森本社長に対する賛成率は59.6%にとどまった。賛成率が開示されるようになった2010年以降で最低となり、足元の改革に対し株主からまだ十分な評価が得られていないことが数字で裏付けられた。
 7月には、子会社元社長が原発のある福井県高浜町の元助役(故人)から約400万円相当の商品券を受領していたと発表。役員2人が事実を把握していたにもかかわらず、第三者委員会の調査に対し申告を怠っていた。
 福井県の杉本達治知事は「地域で信頼が高まっている状況では全然ない」と不信感をあらわにする。国内で初めて40年を超える運転を目指す美浜原発3号機と高浜原発1号機(いずれも福井県)の安全対策工事は今月完了。早ければ年明けに再稼働が可能となるが、地元との協議は難航しそうだ。
 使用済み核燃料を保管する中間貯蔵施設の建設地選定の期限が年内に差し迫るなど、関電の経営課題は山積している。金品受領問題の対応をめぐり、提訴した旧経営陣との法廷闘争も行方が見通せない。
 社内からは「(改革の結果)雰囲気は変わりつつある」との声が聞かれるが、「企業体質は1年やそこらでは変わらない」(関係者)と懐疑的な見方も根強い。
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