[2020_10_10_05]柏崎刈羽原発の核燃料装着、規制委が疑問「再稼働 めど立たない」 新潟(毎日新聞2020年10月10日)
 
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柏崎刈羽原発の核燃料装着、規制委が疑問「再稼働 めど立たない」 新潟

 東京電力柏崎刈羽原発の原子炉に来春にも核燃料を装着する東電の計画に、原子力規制委員会が疑問を示している。再稼働のめどが立たない原発に核燃料を装着するのは、規制委の審査に合格して再稼働した原発では例がないためで、今後の焦点になりそうだ。【内藤陽】

 ◇審査合格原発で例なく

 「原子炉起動の予定が全く立っていないのに、先に(核燃料を)装着するというのは、事実上ないのだろうと思う」
 規制委の更田豊志委員長は7日の記者会見で、東電にこうクギを刺した。
 東電は、核燃料装着は従来「検査の一環」として実施しており、再稼働時に必要な地元同意を得ずに、来春にも実施する構えだ。しかし、県が再稼働の可否を判断する条件としている柏崎刈羽の三つの検証が終わるめどは立っておらず、再稼働までの長期間、炉内に核燃料が装着されたままになる。規制委の審査に合格して再稼働した全国の5原発9基は、すべて再稼働の直前に核燃料を装着している。
 更田委員長は、核燃料を装着したから危険ということではない、と断った上で「燃料は装着したけれども、起動は当分先というのは考えにくい。燃料はやっぱり使用済み燃料プールにあった方がよい。普通に考えれば、起動のめどがあって装着があって臨界試験があって起動があるという手順」と指摘した。
 一方、柏崎刈羽の石井武生所長は8日の定例記者会見で、「原子炉内に燃料を長期間置いておくこと自体に大きなリスクが生じることはない」との認識を示した。
 石井所長は、検査として新たな設備や機器の動作を確認し、安全性を確認することを強調。「原子炉内も使用済み燃料プールも、同等に安全な場所と確認している。燃料を装着した状態で冷却・注水設備などがしっかりと機能するか確認することが安全性の向上に寄与する」と理解を求めた。
 石井所長は装着時期について「説明会など具体的なことは未定だが、地元の関係者にしっかりご説明して工程を進めていきたい」と述べ、地元同意を求めるのは「臨界を伴う起動前」であることを改めて強調した。
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