[2020_12_11_06]福島第一の汚染土、中間貯蔵の用地確保にメド…3月末で買収交渉を終了へ(読売新聞オンライン2020年12月11日)
 
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福島第一の汚染土、中間貯蔵の用地確保にメド…3月末で買収交渉を終了へ

 2011年の東京電力福島第一原発事故で汚染された土を一時保管する中間貯蔵施設(福島県大熊町、双葉町)の用地について、環境省は地権者との買収交渉を来年3月末で原則終了する方針を固めた。汚染土の保管に必要な用地の確保にめどがついたとしている。汚染土の搬入も順調に進んでおり、今後は福島県外での最終処分場の選定が課題になる。
 用地は、福島第一原発を取り囲む南北約7・5キロ、約1600ヘクタールのエリアで計画されている。東京都渋谷区とほぼ同じ広さだ。民有地が8割で、事故前は約3000人が住んでいた。
 政府は11年10月、施設の建設計画を打ち出し、県と大熊、双葉両町に受け入れを打診した。14年8月、最長30年の保管期間や県外での最終処分を条件に地元と合意した。15年9月に最初の買収契約が成立した。
 買収や地上権設定の交渉は当初、先祖代々の土地へ汚染土が持ち込まれることに抵抗感を持つ人が多く、難航。16年末の用地取得率は15・6%にとどまった。
 しかし、避難生活の長期化を背景に、17年頃から交渉が進み、今年11月末時点で74・8%(1197ヘクタール)に達した。残る買収予定地のうち、道路などを除いた民有地は1割ある。ただ、余裕を持たせた取得計画だったこともあり、環境省は「必要な用地はほぼ確保できた」としている。
 未買収地は交渉が難しい土地も多く、今後は必要に応じて随時交渉する方式に切り替える。これらの方針は地元にも説明している。
 汚染土の搬入は15年3月に始まり、ピークを迎えている。今月3日時点で予定量(約1400万立方メートル)の7割超が施設に持ち込まれた。同省は搬入について「21年度中の概(おおむ)ね完了を目指す」としていたが、新年度に「21年度にも完了する」と方針を改める。
 残る課題は、地元の受け入れ条件である「保管は最長30年」「県外での最終処分」の厳守だ。最終処分場の県外候補地について、具体的な議論はほとんど行われておらず、確保のめどは立っていない。
 条件の厳守を求める地元の声は強く、同省幹部は「汚染土の搬入完了後、県外での最終処分の議論を起こしていく必要がある」としている。

 ◆中間貯蔵施設=国が1・6兆円を投じて建設。福島県内の除染で発生した汚染土や廃棄物を受け入れる。汚染土から石や草木を分別する施設や、分別後の土を保管する施設、草木などを焼却する施設などで構成される。
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