[2023_03_25_03]原子力規制委員会と原子力規制庁へ申し入れ (上) (2回の連載) 山中伸介委員長・片山啓長官の辞任を求めます 運転期間についての改正を撤回することを求める 「規制委員会の使命は人と環境を守ること」…石渡委員発言 永野勇(千葉県市原市在住)(たんぽぽ2023年3月25日)
 
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原子力規制委員会と原子力規制庁へ申し入れ (上) (2回の連載) 山中伸介委員長・片山啓長官の辞任を求めます 運転期間についての改正を撤回することを求める 「規制委員会の使命は人と環境を守ること」…石渡委員発言 永野勇(千葉県市原市在住)

 
2023年3月25日
原子力委員長 山中伸介さま
原子力規制庁長官 片山啓さま

◎ 私は去る2月8日の申入れで、山中伸介委員長と片山長官の辞任を申し入れましたが、2月8日の令和4年度第71回原子力規制委員会の内容をみて、さらに、お二人の辞任を申し入れる気持ちが強くなりました。
 今回の「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要」案の論議の際に、明らかになったパブリックコメントが、約2000件ありその大半が反対の意見であったにもかかわらず、それへの対応が一切無いということでありました。
 以前から言われていたのは、「パブリックコメントはアリバイ作りのために実施している」との声がありますが、こと原子力に関しましては、原子力規制委員会設置法の中で国民の生命の保護が明らかになっていますのでパブリックコメントの大多数が反対であったらそれに基づいて案を変更すべきであると考えます。

◎ それに対し、石渡委員は「私は、やはり科学的・技術的な知見に基づいて人と環境を守るということが原子力規制委員会の使命だと思っております。」と最初に述べました。
 そしてさらに3点の意見を述べて、高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要について、反対しますと意見を表明しました。

 石渡委員にお聞きしなければ分かりませんが、私は石渡委員が「私は、やはり科学的・技術的な知見に基づいて人と環境を守るということが原子力規制委員会の使命だと思っております。」と最初に述べたことは、今回のパブリックコメントの反対意見の多さを汲み取ったものと思います。

◎ そしてこの「高経年化した発電用原子炉に関する安全規制の概要(案)」についての審議は、2023年2月13日の第72回原子力規制委員会臨時会議に引き継がれました。
 そこで、石渡委員が問題にしたのは、山中委員長が金科玉条のごとく使用している「令和2年7月29日の見解ですが、これは原子力規制委員会の全体の意思として確固として決定されたものではない。(第72回原子力規制委員会臨時会議議事録7P)として、他の3人の方(杉山委員は当時委員では無かった)の意見を求めました。他の3人はいずれも7月29日の見解を妥当としましたが、田中委員長代理は、十分議論したかというと若干議論が少なかったかも分からない(同上議事録8P)と述べています。
 そこで、私も、調べてみましたが、結論から言えば、議論はほとんどしていなかったということであります。

◎ 問題になっているこの見解は、令和2年7月22日の第17回原子力規制委員会と第18回原子力規制委員会の2回だけであります。第17回原子力規制委員会では、山中委員長(当時委員)が2つのことを意見として出し、その他の委員からは、意見は出ましたがほとんど議論はありませんでした。
 そして次の第18回原子力規制委員会では、山中委員が、私のコメント(第17回原子力規制委員会で述べた意見であり、第17回原子力規制委員会議事録21P15〜23行目)は、この3及び6に明確にまとめられていると考えています。(第18回原子力規制委員会議事録26P)と発言。
 私は、何か山中委員長が自作自演の一人芝居をしているなと感じました。

◎ そして、もう一点非常におかしく感じたのは、令和2年7月29日の見解案のリード文下から4行目に「原子力規制委員会としては、かねてから、運転期間の在り方について意見を述べる立場にない旨を表明してきたところであるが」となっている点であります。
 この文章からして普通の人は「意見を述べる立場にない旨を」原子力規制委員会で決めてあったと判断出来ますので、私は、メールにて原子力規制委員会に質問しましたがその回答は下記の通りです。

 2017年1月28日、第1回主要原子力施設設置者(被規制者)の原子力部門の責任者との意見交換会で事業者側から、運転期間延長認可制度の審査における課題として「運転停止期間における安全上重要な設備の劣化については技術的に問題ないと考えられることから、バックフィットを適切に実施するための審査・工事等に関する停止期間は、運転期間から除外する」との提案がなされた。これに対し規制当局側から、技術的観点からは議論に意味があるが、同制度の運転期間は政策的に法律として定められたものであり、原子力規制委員会の裁量を越えて法解釈することはできない旨回答した。
 回答は、上述の通りであり、事業者側との発言のやり取りでの規制当局側の主張であり、原子力規制委員会で議論していないことが明確になりました。

◎ ここで一番の問題点は、令和2年7月29日の見解は間違っており無効だということです。
 40年・60年(運転期間)を原子炉等規制法からなくすということは、規制をなくすということです。
 原子炉等規制法第43条の3の32(運転期間等)の第1項で、運転できる期間は40年とする。
 そして2項と3項で一回に限り20年を延長できるように明確に定めています。
 このことは、国会でどういう議論の上に成り立ったかではなく、福島原発事故の教訓の上にできた紛れもない規制条文であるということです。安全規制を本務とする原子力規制委員会が、きわめて重要な運転制限期間について、何も言わないというのだから開いた口が塞がりません。原子力規制委員会の皆さんは、本務を間違えないようにしてほしいと強く思います。  (下)に続く
KEY_WORD:原発_運転期間_延長_:石渡明氏原発60年超運転に反対_: