[2023_05_08_04]最大震度6強・能登地方の地震今後は…「富山も安全な場所とは言えない。活断層の本体が動けば津波が起きる」マグニチュード7の可能性も(後編)(チューリップテレビ2023年5月8日)
 
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最大震度6強・能登地方の地震今後は…「富山も安全な場所とは言えない。活断層の本体が動けば津波が起きる」マグニチュード7の可能性も(後編)

 最大震度6強を観測した5日の石川県能登地方の地震は、地震の規模、つまりエネルギーを示すマグニチュードが6.5でした。政府の地震調査委員会は能登地方の地震活動が「当分続くと考えられる」との見解ですが、富山や石川で地震の研究をする専門家は「本体の活動の前兆というか準備段階」としたうえで、富山でマグニチュード7の可能性もありうると話します。マグニチュードが0.2上がると地震のエネルギーは2倍になり、0.5上がるとおよそ5.6倍にもなるのです。心配される地震の今後について富山や石川の地震の研究をする富山大学の竹内章名誉教授に詳しく聞きました。
 竹内章名誉教授は今回の地震が群発地震の一連の中で “最大のもの”とみた上で、今度おおもとの活断層の本体が動く恐れもあると指摘、「本体の活動の前兆というか準備段階という風にもかんがえられる」としました。
 記者:「(本体の活動の前兆という指摘について)それは怖いですよね?」
 竹内章名誉教授:「陸上では今回も被害が出ていますけど、揺れによる被害、それから土砂災害、そういったものが起きるわけですけども、その活断層の本体は珠洲の地下に13キロから16キロぐらいまでの間にいっている。斜めにいっているんですけど、それが顔を出してくるのが海底になるわけです。それが能登半島の北岸の断層帯という風になっているわけですけども、この本体が動くと津波が起きるということで、地震動だけじゃなくて津波による被害も同時に発生することになります。今回あまり津波という現象にならなくて若干の海面変動はあったわけですけど」
 記者:「そうなると富山でもこれ以上の大きな揺れが?」
 竹内章名誉教授:「緊急地震速報をみると、5日午後2時台の地震の場合はマグニチュード7を想定しているわけです。各地の予測震度も出ていて、富山県西部は震度5弱程度、あるいはそれ以上。東部は震度4以上ということになっていて、実際、富山の場合は西部は4で東部が3でした。若干想定のマグニチュード7ではなくて6.5だったわけで、若干目減りというか、そういう誤差もあると思いますが、こういうことが想定される地震なわけです。ですから今後も富山はこういう緊急地震速報で想定されている震度は覚悟する必要があるということなんです。これはいつも西部の方が大きいというわけではなくて、現に5日の夜の方の地震は、最大余震みたいなものですけど、逆に東部の方が大きかった。これは珠洲で今後も活動が続くと、5日よりももっと大きなマグニチュードの地震が起きるとすれば、富山もきのう程度ではなくてもう1段2段上の揺れを想定しておく必要がある」

 ■南海トラフの地震と連動し呉羽山断層が動く可能性

 記者:「具体的に言うと?」
 竹内章名誉教授:「マグニチュード7です。北陸地方で7ってめったにないんですよ。だけど6.9までは行っている(2007年3月25日、マグニチュード6.9の能登半島地震)。6.9までは確実にいくと思っておいた方がいい。7は稀ですけど歴史地震ではある」
 記者:「そういう珠洲の地震の影響で呉羽山断層に影響は?」(呉羽山断層帯は富山市から富山湾にかけて分布するおよそ22キロの活断層帯)
 竹内章名誉教授:「それは全然ないですね。連動という現象はよくあるんですけど。それは大きなプレート境界というか、富山県でいうと静岡から長岡の方に行っている糸魚川静岡構造線、日本の第一級の巨大な断層なんですけど、こういうのが南海トラフの地震と連動して動くと、さらに連動で県内の呉羽山断層が一緒に動く可能性はあります」
 記者:「より大きい地震が今後起こりうる可能性がある。ではどうすれば?」
 竹内章名誉教授:「珠洲の方は去年も6弱とか強い揺れが続いているわけですね。それで耐震化ができない建物は今回も被害を受けてしまっています。これは富山の場合でも同じようなことが考えられますので、建物関係の耐震化は最優先で考えなければならない」

 ■平野部で大きな地震が起きてないのが怖い

 記者:「地震に対する心構えはどうですか?」
 竹内章名誉教授:「心構えとしては、この珠洲の地震、群発地震が続いていて、いま起きる地震がだんだん大きくなっている。マグニチュードが。そういうことについて背景を考えておく必要があって、東日本3.11の余波と考えるとすると、それは珠洲だけで全部受け持っている状態ではないので、東日本各地でいろんなことが起きている。そういう中で“富山も安全な場所とは言えない”ので、“いつきてもおかしくない”そういう心構えはどうしても必要で、“いつきてもおかしくない”状態がこの近年、緊迫度を増しているという風に受け止めていただいた方がいい。富山で起きないことはないんですよ」
 「実際に“飛越地震”とか、貞観の地震とか富山は日本でも指折りの地震が起きているわけです。起きないということはないんですけど、起きる間隔があります。飛越地震、天正地震(1586年)は“今起きたばっかり”なんですね。山間部でああいう大きいことが起きるのはないと思います。だけど平野部では、ほとんど起きてないですよね。3000年近く。それが非常に怖いことで。ないから怖いんですよ。ないから安心ではなくて。そういうことなんです。連動ということを考えておく必要があって。南海トラフの時は必ず起きると思っておいた方がいい」

 記者:「今回の地震の余波はどれくらいまで?」
 竹内章名誉教授:「これは夜の最大余震みたいのも含めて震度5ぐらいはこれからも1週間ぐらいありうると思う。震度4とかになってくると従来の群発地震、珠洲においては群発活動と区別がつかなくなってしまうので分からなくなってしまうと思います。一応、本震と同じぐらいの強い揺れは、普通は2、3日と言われているので。それに注意しつつ1週間は注意をする状態を保っておいた方がいい」
チューリップテレビ
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