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[2025_08_12_01]カムチャツカ半島沖 プレート沈み込み帯で巨大地震 今後も厳重な警戒を 鎌田浩毅(サンデー毎日2025年8月12日) | ![]() |
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参照元
10:10 ロシア極東カムチャツカ半島沖で7月30日、大地震が発生した。マグニチュード(M)は日本の気象庁は8.7、米地質調査所(USGS)は8.8としている。震源はカムチャツカ半島南東部のペトロパブロフスク・カムチャツキーから東南東119キロメートルの沖合で、震源の深さは20.7キロメートルと浅い。 この海域では、海側の太平洋プレートが陸側の北米プレートの下部へ、年77ミリメートルの速度で西北西方向へ沈み込んでいる。ちなみに、北米プレートは「千島・カムチャツカ弧」の北西側にあり、北米大陸の西側延長でもある。 地震のメカニズム解析によれば、今回の地震はプレートの「沈み込み帯」に特徴的な「逆断層」型の「海溝型地震」であり、長さ390キロメートル、幅140キロメートルの領域が約8メートルずれ動いた。この地震で、気象庁は北海道や青森県などから和歌山県にかけて津波警報を、また日本沿岸の広範囲に津波注意報を発表した。 気象庁の発表を受けて、各地の自治体で避難指示などが発令された。また、岩手県久慈港では地震発生から約6時間後に1.3メートルの津波が観測され、北海道から沖縄まで広い範囲で10〜60センチメートルの津波が到達した。鉄道の運休なども広がった。 ◇1952年にM9も 千島・カムチャツカ弧ではこれまでも地震が頻発しており、過去100年間にM6.5以上の地震が31回発生している。これには今年7月20日に発生したM7.4の地震も含まれており、今回の大地震の前震と考えられている。 また、1952年11月5日には、今回の震源から東南東45キロメートルで「カムチャツカ地震」と呼ばれるM9.0の巨大地震が発生し、太平洋全域に破壊的な津波をもたらした。日本にも津波が到達し、三陸沿岸では最大3メートルに達した。 何千キロメートルも遠方から来た津波は「遠地津波」と呼ばれる。遠方で地震が発生するため油断されがちだが、最大波が遅れて来る特徴がある。すなわち、海底地形などの影響で複雑に反射・屈折し、1波2波と継続した後、一番大きな津波が後から来る。また、水面の上下が繰り返される津波の周期が非常に長い特徴があり、1時間以上かかる場合もある。 今回の地震は2011年の東日本大震災(M9.0)に近い大型で、地震の発生深度が約20キロメートルと浅いため、海底の隆起・沈降が大きかった。今後も最大M8近い余震が発生し、1カ月ほど続く恐れがある。8月3日には付近を震源とするM6.8の地震も発生した。 地震調査委員会は千島海溝沿いで、M9クラスの地震と津波の発生が迫っていると警戒を促している(本連載の第88回を参照)。また、千島海溝では現在、海側プレートが沈み込み始める「海溝軸」と呼ばれる場所で「ひずみ」が蓄積している(本連載の第223回を参照)。よって、千島海溝に沿った震源域については、今後も厳重な警戒が必要である。 ◇ かまた・ひろき 京都大学名誉教授・京都大学経営管理大学院客員教授。1955年生まれ。東京大学理学部卒業。専門は火山学、地質学、地球変動学。「科学の伝道師」を自任。理学博士。 |
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KEY_WORD:カムチャッカ地震-津波_:KAMUCHATUKA-2025_:HIGASHINIHON_: | ![]() |
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