[2025_08_25_05]14回目の処理水放出が完了 これまで約10万9800トンに(NHK2025年8月25日)
 
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14回目の処理水放出が完了 これまで約10万9800トンに

 14:47
 福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出が始まって24日で2年が経過しました。
 東京電力は今月上旬から行っていた通算14回目となる放出を25日昼ごろ完了したと発表し、今回を含めこれまでにあわせておよそ10万9800トンが海に放出されました。
 処理水の海への放出は2051年まで続くとされ、放出の監視や原発周辺の海水のモニタリングなど、長期間にわたり安全管理を続けていくことが求められます。

 福島第一原発では、汚染水を処理したあとに残るトリチウムなどの放射性物質を含む処理水が敷地内の1000基余りのタンクで保管されていて、東京電力は政府の方針に従い、おととし8月24日から基準を下回る濃度に薄めたうえで海に放出しています。
 24日で処理水の放出開始から2年が経過し、東京電力は今月7日から始めた通算14回目の放出が25日午後0時1分に完了したと発表しました。
 放出はこれまでのところおおむね計画通りに進んでいて、今回放出された7908トンとそれ以前に放出された10万1870トンをあわせておよそ10万9800トンが海に放出されたことになります。

 東京電力や国などは、原発周辺で海水を採取しトリチウムの濃度を分析していて、これまでに検出された最大値は1リットルあたり61ベクレルと、▽東京電力が自主的に放出の停止を判断する基準の700ベクレルや、▽WHO=世界保健機関が定める飲料水の基準の1万ベクレルを大きく下回っています。
 また、ことし2月からは放出に伴い空になったタンクの解体作業が始まり、廃炉作業に必要な敷地の確保が進められています。
 一方で、溶け落ちた核燃料と周囲の構造物が混ざり合った核燃料デブリの冷却や建屋に地下水などが流れ込む影響で、今も1日あたり70トンのペースで汚染水が発生し、それに伴い、新たに処理水も生じることなどから、東京電力は処理水の総量を減らすには時間がかかり、処理水の海への放出は2051年まで続くとしていて、放出の監視や原発周辺の海水のモニタリングなど、長期間にわたり安全管理を続けていくことが求められます。

 【漁業者「放出を安全に進めてほしい」】

 福島第一原子力発電所にたまる処理水の海への放出が始まってから2年となることについて、復興に向けて漁を続けてきた福島県の漁業者からは、処理水による悪影響はあまり感じていないとする一方、不安がなくなったわけではなく、放出を安全に進めてほしいという声が聞かれました。
 福島県相馬地方の沖合では今月からシラスの漁が始まっています。
 相馬市の松川浦漁港では、今月22日、漁を終えた16隻の漁船が港に戻り、漁業者とその家族らが銀色に光るシラスを次々に水揚げし、今シーズン一番の水揚げに活気づいていました。

 東京電力福島第一原発が立地する地域の沿岸を漁場としている相馬市の漁師、松本浩一さん(70)は地元で50年以上、「常磐もの」として重宝されてきたヒラメやイカなどを水揚げしています。
 原発事故のあと、一時、漁の自粛を余儀なくされ、福島の水産物に対する風評被害も根強い中で復興に向けて漁を続けてきました。
 処理水の放出から2年となることについて、「放出される前は、新たな風評被害や魚への影響がないか不安がいっぱいあったが、2年がたち買い控えも感じなくなり、魚への悪い影響も出ていないので心配は少なくなった」と話しました。
 しかし、水揚げ量は事故の前に戻っておらず、いまも影響が続いていることを踏まえ、「地元で漁をしていて、不安が全くないということはなく、放出を事故なく進め、一日も早く廃炉ができる形にしてもらいたい。そして昔のような漁が出来るように、前向きに漁を続けていきたい」と話していました。

 【内堀知事「万全な対策を」】

 処理水の海洋放出が始まってから2年がたったことについて、内堀知事は「これまでのところ放出作業は計画通り行われていると考えている。特に当初は水産業への新たな風評被害の発生を懸念していたが、現在、直接的な影響は見られていない。引き続き、想定外の事態が生じることのないよう、万全な対策を講じるとともに、正確でわかりやすい情報発信につとめることを求める」と話していました。
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