[2024_04_05_02]「われわれは現場監督ではない。事業者の問題」 東海第2原発の「不備」問題で原子力規制庁(東京新聞2024年4月5日)
 
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「われわれは現場監督ではない。事業者の問題」 東海第2原発の「不備」問題で原子力規制庁

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 日本原子力発電東海第2原発(茨城県東海村)の防潮堤工事で施工不備が見つかった問題で、超党派の国会議員でつくる「原発ゼロ・再エネ100の会」が4日、オンライン集会を開き、原子力規制庁の担当者に聞き取りをした。規制庁側は「工事の状況を逐一確認していない。われわれは現場監督ではない」とし、「一義的には事業者の問題」と強調した。(竹島勇)
 オンライン会議サービスの「Zoom」を使い、会の事務局長の阿部知子衆院議員(立憲民主党)が進行役を務めた。地元からは江尻加那(共産党)、玉造順一(立憲民主党)両県議が参加した。
 江尻県議は、今回の施工不備を規制庁が把握した経緯などを質問した。規制庁の担当者は、東海村には原子力運転検査官資格を持つ5人を含め職員15人が常駐し、東海第2や周辺の原子力施設を担当していると説明。そのうえで「現地の検査官が6月に、原電が不具合事象等を記載した文書で確認し、現地でも(実際に)確認した」と答えた。
 玉造県議は、今後の規制庁と県の連携や情報共有のあり方について尋ねた。原電は1月に施工不備の対策案を公表し、設計と工事計画認可申請の補正書を規制委に提出しているが、担当者は「現時点で(原電から)きちんと(対策工事の)内容を聞けていない。県のニーズを踏まえて考えていきたい」と述べるにとどめた。
 規制庁が東海第2の工事状況を現場で逐一確認はしていないとした点について、視聴していた「東海第二原発運転差止訴訟原告団」の大石光伸共同代表が許可を得て発言。「(施工不備があった)この部分は重要なチェックポイントではないという認識ですか」とただした。
 これに対し担当者は「現段階で防潮堤は工事途中で、原子力安全に何ら寄与していない。(今後)新規制基準に適合するかに重きをおいている」とした。
 大石共同代表は終了後、取材に「規制庁は、事業者の問題だとして原電に厳しい姿勢を示しているように見せているが、監督責任を果たしていない。工事が完成してからではなく今、安全性の検査が必要と感じる」と話した。

<東海第2原発の防潮堤の施工不備問題> 日本原子力発電が再稼働のため進める事故対策工事の一環の防潮堤設置で、昨年6月に取水口付近の鋼製防護壁基礎部分でコンクリートの充てん(じゅうてん)不足や鉄筋の変形が見つかった。不備は南北2カ所の基礎部分のうち南側であり、原電はこの部分の工事を停止したが、公表したのは昨年10月だった。原電はことし1月に原因と対策を公表し、北側でも同様の不備があるとみて調査中。村松衛社長は、目標とする9月の事故対策工事完了は「非常に厳しい状況」としている。
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