[2024_04_03_02]台湾東部 マグニチュード7超える地震 7人死亡 736人けが(NHK2024年4月3日)
 
参照元
台湾東部 マグニチュード7超える地震 7人死亡 736人けが

 15:55
 3日午前、台湾東部沖で起きた地震で台湾当局は、これまでに7人が死亡したほか、736人がけがをしたと発表しました。また、倒壊した建物などの中に閉じ込められている人が77人にのぼっているということです。
 現地の状況を随時更新でお伝えします。

 台湾東部 花蓮県で震度6強

 台湾の中央気象署の観測によりますと、日本時間の3日午前8時58分ごろ、台湾東部の花蓮県沖およそ25キロを震源とする地震がありました。
 震源の深さはおよそ15キロ、地震の規模を示すマグニチュードは7.2と推定されています。
 この地震で、台湾東部の花蓮県で震度6強の揺れを観測したほか、北東部の宜蘭県などで震度5強、北部の台北市や新北市、中部の台中市など広い範囲で震度5弱の揺れを観測しました。
 現地ではその後もマグニチュード6.5の揺れを観測するなど、地震が相次いでいます。

 7人死亡 736人けが

 台湾当局は、これまでに7人が死亡したほか、736人がけがをしたと発表しました。また倒壊した建物などの中に閉じ込められている人が77人にのぼっているということです。
 台湾メディアによりますと、花蓮県などで複数の建物が倒壊して建物の中に取り残された人がいるほか、土砂崩れや落石などでけがをした人がいるということです。
 また広い範囲で停電が起きるとともに、水道やガスが止まったり、鉄道が運休したりするなど、ライフラインへの影響も出ています。
 一方、中央気象署は地震のあと津波警報を出し、津波への警戒を呼びかけていましたが、日本時間の正午すぎに解除しました。
 北東部の宜蘭県烏石で82センチ、東部の台東県成功で54センチの津波がそれぞれ観測されたということです。

 林官房長官「邦人被害の情報には接していない」

 林官房長官は午前の記者会見で「日本台湾交流協会による確認や台湾当局の発表によると、現時点で邦人被害の情報には接していない」と述べました。
 日本の台湾との窓口機関「日本台湾交流協会」によりますと、これまでに日本人が被害に遭ったという情報は入っていないということです。

 岸田首相「必要な支援行う用意ある」

 岸田総理大臣は旧ツイッターの「X」に、「台湾東部で地震が発生し大きな被害が出ているとの報に接し、大変心を痛めています。被害に遭われた方々に対し、心からお見舞い申し上げます」と投稿しました。
 その上で「東日本大震災や能登半島地震の際にも大切な友人である台湾の皆さまから本当に心温まる支援を頂いたことに私たちは心から感謝しています。海を接する隣人である台湾の困難に際し、日本としては必要な支援を行う用意があります」としています。

 [花蓮県で大きな被害か]

 “建物倒壊 閉じ込められた人も”

 台湾のテレビ局TVBSは、花蓮県で建物が崩れて1階部分が潰れ、バイクなどが下敷きになっている様子を伝えています。
 また、山の土砂が崩れ土煙が上がっている様子や、建物の壁が崩れて道路に散乱している様子、金魚鉢の水や天井の照明が激しく揺れる様子などを繰り返し伝えています。
 余震が絶えず起きており、花蓮県の被災状況は極めてひどいとみられるとしているほか、災害派遣医療チーム「DMAT」が出動しているとしています。
 「TVBS」は、花蓮県を通る山沿いの道路が崩れているという情報もあるとしています。
 また花蓮市で複数の建物が倒壊し、多くの人が閉じ込められているという情報があり、警察と消防が救助活動を行っています。花蓮市の学校では、授業を中止する措置がとられています。
 各地で停電も起きていて、午前9時半の時点で台湾全土で8万7千戸余りで停電が続いているということです。台湾にある原子力発電所はすべて正常だということです。

 現地に住む日本人「早く日常戻ってほしい」

 花蓮市で和食のレストランを営み、現地の日本人会の幹事を務める溝渕剛さんはNHKの電話でのインタビューに対し、「天気のいい朝でゆっくりテレビをみていたとき、突然下から突き上げるような揺れがあり、すぐ横揺れになった。揺れは収まる気配がなくどんどん大きくなって、部屋の中のものが倒れていった」と地震が起きた時の様子を話しました。
 溝渕さんは地震の後、自宅と店舗の入る建物の中を撮影した映像をSNSに投稿しました。映像では、棚が倒れたり陶器が割れて粉々になったりしている状況が確認できます。また撮影中に、再び地震が起きて慌てて外に避難する様子もうつっています。
 地震の後の状況について、溝渕さんは「ライフラインは切れていないので頑張ればお昼の営業もできるかと思ったが、あまりにも余震が続いている」と話していました。
 溝渕さんのもとには日本人が数名集まり、一緒にニュースを見たということで「花蓮市郊外で建物がかなり倒壊したというニュースが入っていて、外でもサイレンが鳴り止まない。家の周りでは建物の倒壊はないが、出歩くのは控えている。住んで26年になるが一番大きい地震だった」と話していました。
 また台湾ではあすから連休が始まるということで、溝渕さんは「花蓮は観光地なので、休みを利用して来られる人が多く楽しみにしていた。余震が収まって早く日常が戻ってほしい」と話していました。

 花蓮県 観光地で日本人100人が在住

 花蓮県は太平洋に面する地域で、長い海岸線や山脈から流れる川にできた渓谷など、自然が豊かな観光地として知られています。
 人口はおよそ32万人で、日本の台湾に対する窓口機関の日本台湾交流協会によりますと、ことし2月末の時点で100人の日本人が住んでいるということです。
 花蓮県を含む台湾東部ではこれまでもたびたび地震が起きていて、2022年9月にはマグニチュード6.8の地震で1人が死亡し、140人以上がけがをしました。
 また2019年にはマグニチュード6クラスの地震が相次いだほか、2018年2月にはマグニチュード6.4の地震でホテルやビルが倒壊するなどの被害が出て、17人が死亡し290人以上がけがをしました。

 [そのほかの地域でも被害]

 宜蘭県 大きな岩が道路に落下

 TVBSのニュースサイトは、台湾各地からの写真を掲載して被害状況を伝えています。
 このうち、花蓮県に隣接する宜蘭県にあるトンネル付近で撮影された写真からは、崖が崩れて大きな岩が道路に落下している様子がわかります。

 台北市 横揺れ1分間続く

 台北市内では横揺れがおよそ1分間続きました。部屋の中では棚から物が落ちるようなことはありませんでした。
 地震のあとに台北市内の住宅で撮影された映像では、シンクの下に備え付けられた食器などが入ったスペースが揺れの勢いで引き出され、ものが床に散乱している様子がわかります。

 新北市 家具や本が次々と落下

 新北市で30代の男性が撮影した映像では、部屋全体が大きく揺れ、家具や本などが次々と床に落下し、散乱している様子が確認できます。
 男性は4階建ての建物の4階の自宅で寝ていたところ、地震速報の警告音で目が覚め、撮影したということです。特にけがなどはなく、「余震が起きるのを警戒している」と話していました。

 専門家「古い建物で被害のおそれ」

 建物の耐震対策が専門で日本建築学会の元会長の東京工業大学の和田章名誉教授は、「現地の映像では街の角地に立つ5階以上とみられる建物の低層階の部分がつぶれて倒れていた。1階部分が店舗になっていて建物の柱が少ないとみられる。古い年代に建てられた建物には柱が少ないものがあり、こうした建物では被害が出ているおそれがある」と指摘しました。
 また、「1999年に発生したマグニチュード7.7の大地震のあと、台湾では免震構造の建物が普及するなど耐震対策がとられてきたが、映像でみられたような古い建物で被害が集中していないか心配だ」と話しています。

 旅行各社 被害情報なし

 国内の旅行会社は、台湾へのツアーに参加している旅行客の状況や影響について情報収集を進めています。
 このうち東武トップツアーズは、台湾への航空券を手配した個人の旅行客6人について、国内の営業所からの情報で安全が確認できているということです。
 また読売旅行は、今月7日に豪華客船「クイーン・エリザベス」で台湾に向かうツアーを予定していて、現地の情報を確認するとともに、今後の実施については船会社の判断をもとに検討することにしています。
 そのほか▼JTB▼エイチ・アイ・エス▼日本旅行▼近畿日本ツーリスト▼阪急交通社も、これまでにすべての旅行客の無事が確認できたとしています。

 台湾ではこれまでも地震被害

 台湾付近では、過去にもたびたび規模の大きな地震が起きて被害が出ています。
 このうち1999年に台湾中部で発生したマグニチュード7.7の大地震では、コンクリート造の建物などが倒壊し、2400人以上が犠牲となりました。内陸の活断層で発生したこの地震では大規模な土砂災害や橋の損壊、ダムの決壊などの被害も起きました。
 また、2019年にはマグニチュード6クラスの地震が相次いだほか、おととしには台湾東部を震源とするマグニチュード7.3の地震が発生し、1人が亡くなり140人以上がけがをしました。

 [中国・フィリピンでも影響]

 中国 福建省で強い揺れ

 中国中央テレビは、台湾の対岸に位置する中国南部・福建省の状況について比較的強い揺れが30秒ほど続いたという現地記者の話を伝えました。
 また、福建省では一部の学校で生徒たちを安全な場所に避難させたほか、鉄道も安全確認のため一時的に運転を見合わせるなど、影響が出たということです。
 中国中央テレビが伝えた映像には、地震の揺れの影響で、家の中の照明や道路沿いの街灯が左右に大きく揺れる様子が写っています。

  中国政府「被災者の救援行いたい」

 中国政府で台湾政策を担当する国務院台湾事務弁公室の朱鳳蓮報道官は、台湾東部沖を震源とする地震を受けて3日「深く憂慮しており、被害を受けた台湾同胞に心からのお見舞いを表する。被害の状況を注視し、被災者の救援を行いたい」とする談話を発表しました。

 フィリピン 沿岸地域に一時 津波警報

 台湾東部沖を震源とする地震の発生で、フィリピン当局は一時、津波が発生するおそれがあるとして警報を出し、台湾に近い海沿いの地域の住民に対して高台などへの避難を呼びかけましたが、解除しました。
 フィリピンの火山地震研究所によりますと、これまでのところフィリピンでは海面の変動や津波の到達は確認されていないということです。
KEY_WORD:台湾地震-2024-震度6強_:HIGASHINIHON_:NOTOHANTO-2024_: