[2024_03_29_02]2051年廃炉は「難しい」1号機内部映像 専門家はどう見る?調査で判明、激しい損傷 東京電力福島第一原発(テレビユー福島2024年3月29日)
 
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2051年廃炉は「難しい」1号機内部映像 専門家はどう見る?調査で判明、激しい損傷 東京電力福島第一原発

 17:57
 東京電力が公開した、福島第一原発1号機の内部調査の映像から、被害の大きさが改めて確認されましたが、廃炉の行方にも大きな影響があることが、わかりました。専門家はどう見たのか。単独インタビューで聞きました。

 東京電力が先週公開した1号機内部の映像。デブリとみられる堆積物や激しい損傷が明らかになりました。原発の設計に詳しく、日本原子力学会で廃炉検討委員長を務める宮野廣氏。今回の映像をどう見たのか。3つのポイントから、読み解きます。

 ●ポイント(1)つらら状の堆積物

 今回確認されたつらら状の堆積物。宮野氏は溶け落ちた核燃料・燃料デブリだといいます。
 日本原子力学会廃炉検討委・宮野廣委員長「気中なので、上から落ちてきたものを液状になったものが流れてつらら状になるということで起きている。表面はほとんど燃料デブリに覆われているもの」

 ●ポイント(2)損傷の程度

 さらに、1号機内部の損傷については、他の原子炉と比べ、「最もひどい」と指摘します。
 宮野委員長「最もひどいのは1号機かな、3号機とどっちかなと思っていたんですけど、この間の気中の状態を見ると、構造物、そしてぶら下がっているものもありますので、損傷度合いは多分、1号機が一番最もひどいのではないか」
 その上で、宮野氏は、落下物などをより詳しく確認するため、さらに上部の調査が必要だと指摘します。

 ●ポイント(3)廃炉スケジュールへの影響

 廃炉について、政府と東電は、2051年までに完了することを目標にしています。今回、内部の状況が詳しくわかったことは、廃炉に向けて前進したようにも見えますが、宮野氏は…。
 宮野委員長「全体工法を考えて、周りの放射性物質が漏れない囲いを作るということを踏まえると、2040年、2050年というのは難しい、かなり難しいというふうに思います」
 理由として、損傷の大きさなどから、デブリの取り出しのための設備工事や解体に時間がかかること。そして、放射線量は自然に減っていくものですが、この放射線量が減るの待って作業した方がより安全であること、などをあげています。
 宮野氏は、現在の目標について、懐疑的な見方を示したうえで、この期限までに着手することも、難しいのではないかと指摘しています。今回の調査では、新たにわかった事実もあった一方で、課題も明るみになったと言えそうです。
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