[2024_03_02_03]能登半島地震 志賀原発が稼働していたら… 井戸川・福島県前双葉町長「最悪の事態」を懸念(東京新聞2024年3月2日)
 
参照元
能登半島地震 志賀原発が稼働していたら… 井戸川・福島県前双葉町長「最悪の事態」を懸念

 07:59
 東京電力福島第1原発事故から11日で13年を迎えるのを前に、能登半島地震で震度7を記録した石川県志賀(しか)町の北陸電力志賀原発に厳しい視線を注ぐ人が埼玉県加須市にいる。原発事故の際、第1原発が立地する福島県双葉町から同市への集団避難を実現させた前町長の井戸川克隆さん(77)。「もし志賀原発が稼働していたら、福島のような最悪の事態が発生していたかもしれない」と懸念を強めている。(菅原洋)

 今回の地震により、志賀原発は外部電源の一部を失い、壊れた変圧器から膨大な量の油が漏れて一部が海へ流出。避難の際に基準となり欠かせない、空間放射線量を測るモニタリングポストは最大18カ所で一時測定できなくなった。
 井戸川さんは「周辺の道路も寸断され、原発事故が起きていたらとても避難できる状態ではなかった」と指摘。その上で「福島の事故では、避難計画は役に立たなかった。その反省がない。福島の教訓が、志賀を含む全国各地の原発がある地域に生かされていない」と言及する。
 志賀原発を巡っては、北電は1999年に核分裂反応が連続する深刻な臨界事故を起こしていたが、2007年に至るまで約8年間も隠蔽(いんぺい)。その後にトラブルなどで停止し、北電は「敷地内に活断層はない」と主張して再稼働に向けた審査中だった。そのさなかに今回の地震が起き、約3メートルの津波も来た。
 「北電も東電も共通するような隠蔽体質がある。志賀原発の再稼働などはとんでもない。事故が発生する前に廃炉にするべきだ」。井戸川さんは明言する。
 一方、東電の柏崎刈羽原発がある新潟県柏崎市と刈羽村は、今回の地震で震度5強を観測。07年の中越沖地震では、一帯で震度6強を記録し、屋外変圧器で火災が起き、周辺監視区域外へ放射性物質を含む水が海へ流出した。その後はテロ対策の不備も問題化した。
 福島の事故の前後から停止中の柏崎刈羽原発は、埼玉県内からも遠くはない。井戸川さんは「もし事故が起きたら、関東でも福島のようになるだろう。福島の避難者が味わってきた大変なつらさを繰り返してはならない」と訴える。
 柏崎刈羽原発も「再稼働させず、廃炉にするべきだ」と言葉に力を込めた。さらに、志賀原発も含め「原発で得る利益よりも、事故による損失がはるかに大きい。再稼働させて事故が起きたら、原発がある地域の自治体が国から最も責任を取らされることを肝に銘じるべきだ」と強調した。
KEY_WORD:SIKA_:CHUETSUOKI_:FUKU1_:KASHIWA_:NOTOHANTO-2024_: