[2024_03_28_07]原発報道 萎縮しないで 「珠洲」番組制作 七沢さん(中日新聞2024年3月28日)
 
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原発報道 萎縮しないで 「珠洲」番組制作 七沢さん

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 富大で講演3.11以降 年追うごと衰退
 NHK職員時代に「珠洲原発」建設を巡るドキュメンタリー番組を作ったジャーナリストの七沢潔さん(66)が、富山市五福の富山大五福キャンパスで講演した。在職当時、番組制作の影響などで不本意な人事異動が続いた七沢さんは、原発への考えが「偏向していたとは思っていない」と述べた上で、東日本大震災以降の原発報道が減っている現状を憂い、「ジャーナリズムは何を言われようと、やり抜くのが前提」と気骨を示した。(平井剛)
 七沢さんは、石川県珠洲市で1970年代に計画が浮上した原発建設を巡る電力会社と反対住民との攻防を追った番組「原発立地はこうして進む 奥能登・土地攻防戦」(90年)を手がけた。建設用地の契約に絡む電力会社側と住民との生々しいやりとりも克明に記録した。
 講演に先立ち番組が上映され、その後にマイクを握った七沢さんは、NHKでは原発報道を続けたが、そのたびに異動させられ、最終的には番組制作に関われなくなったと説明した。それでも当時作った番組などの影響で珠洲原発は建設中止に追い込まれ、建設予定地付近が震源地だった能登半島地震では難を免れた。
 東日本大震災の福島第1原発事故で盛り上がった原発報道は、年を追うごとに減って風化が進んでいると嘆く七沢さん。その背景には、厳しい取材規制などによる「メディアの萎縮」もあるのではと分析した。北陸電力が再稼働を目指す志賀原発2号機(石川県志賀町)にも言及し、能登半島地震で多くの避難路が寸断したことを受け「避難計画は絵空事だった」と指弾した。多くの活断層に囲まれた危険性を指摘し、再稼働させないよう「富山の人たちも連携してほしい」と訴えた。講演会は富山大学科学コミュニケーション研究室が主催し、オンラインを含めて62人が聴講した。
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