[2024_02_24_01]核燃料輸送の安全対策は規制基準外だ 「隆起する港」「襲いかかる津波」 使用済燃料輸送は安全上不可能(上)2回の連載 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2024年2月24日)
 
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核燃料輸送の安全対策は規制基準外だ 「隆起する港」「襲いかかる津波」 使用済燃料輸送は安全上不可能(上)2回の連載 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)

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 2月21日、参議院議員議員会館で福島みずほ議員の紹介による院内ヒアリング集会「能登半島地震が教える原発の危険性」「地震はどこでも起こる、退避も避難もできない」が開かれた。
 主要なテーマは本年1月1日の能登半島地震を踏まえた原発の安全性の欠如、防災体制の不備、屋内退避も避難行動も不可能な事態に直面して、規制庁と内閣府の担当者と問題点を論じ、今動いている原発の全面停止を求める取り組みが行われた。
 今回は特に、これまで原発の安全問題としてはあまり正面から取り上げられることがなかった、自然災害と使用済燃料輸送との関係についてまとめたので、速報として提供する。

 ◎またひとつ原発の危険性を示す現実が露わになった

 能登半島地震があったことから、各地の原発ではそれぞれの耐震性や地震想定などについて問題を指摘する声も増えている。
 原発の耐震設計は、各地域の特性によりバリエーションがある。南海トラフ地震の震源域にある浜岡原発や中央構造線の上に位置する伊方原発のような例と、その他の原発の事情は、それぞれ異なると考えられがちだ。
 到底、耐えられるとは思えないけれども。
 そして、ここでは全国共通の極めて重大な案件があることを指摘したい。それは核燃料輸送である。
 新燃料や燃料の材料もそうだが、ここでは「使用済燃料」に焦点を当てたい。

 ◎使用済燃料の現状

 福島第一原発事故を受けて過酷事故を起こさないために原発や原子力施設は一定の耐震性や耐津波性能を上げる必要が生じた。それに付随するように、火山や火災、航空機墜落などの類型についても高い安全性を求めるとして、特定重大事故等対処施設の整備など、これまでになかった対応を求めるようになった。
 しかし、そうした新規制基準適合性審査を経ていない重大な要素が残されている。
 それが使用済燃料輸送である。

 日本の核燃料サイクル事業は、現在は各原発で貯蔵している使用済燃料を六ヶ所村の再処理工場で再処理し、ウランとプルトニウムに分離し、プルトニウムはプルサーマル用燃料体に加工するとされている。
 そのため現在は大量の使用済燃料が六ヶ所村の貯蔵プールの冷却水に沈められている。
 使用済燃料プールは各地の原発にも備わっており、そこにも大量の燃料体が貯蔵されている。
 東電と日本原電は青森県むつ市に「中間貯蔵施設」を建設し、それを子会社のリサイクル燃料貯蔵(RFS)に委託することになっている。しかし運用は未だ始まっていない。
  (下)に続く
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