[2024_03_28_04]22年東北新幹線脱線、横揺れで「ロッキング脱線」原因と認定…運輸安全委員会が事故調査報告書(読売新聞2024年3月28日)
 
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22年東北新幹線脱線、横揺れで「ロッキング脱線」原因と認定…運輸安全委員会が事故調査報告書

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 2022年3月の福島県沖地震で起きた東北新幹線の脱線事故で、運輸安全委員会は28日午前、事故調査報告書を公表した。緊急停止後の車体が地震動で大きく左右に揺さぶられ、片側の車輪が浮き上がってレールを乗り越える「ロッキング脱線」が起きたと認定。高速走行中に脱線すれば大きな被害が起こりうるとして、車体の揺れを抑制する技術開発などをさらに進めるようJR東日本などに求めた。

 報告書によると、「やまびこ223号」(17両編成、乗客乗員80人)は22年3月16日、福島―白石蔵王間を時速154キロで走行中に震度4の「前震」で早期地震検知システムが作動して緊急停止した。2分後の「本震」で震度6弱の揺れに見舞われて脱線し、客6人が軽傷を負った。
 片側の車輪がレールを乗り越えるロッキング脱線は、17両のうち16両で発生した。場所によっては、脱線した車体がさらにずれ動く「逸脱」も起きており、右に1メートル以上ずれた車輪もあった。逸脱を防ぐ金具(逸脱防止ガイド)が付いていたが、車体の揺れが大きかったため、金具が十分に機能しない箇所もあったという。
 報告書では、実物の台車を使った実験結果などを踏まえ、「仮に高速走行中でも脱線の程度は大きく変わらなかった」と分析。しかし、先頭車両などが走行中に逸脱すれば被害が拡大する恐れがあるとして、「十分な研究や技術開発を行い、逸脱を極力させない有効な対策を実施することが望ましい」と指摘した。
 JR東などは事故後、車体底部の器具を改良するなどして脱線・逸脱対策を進めている。
 新幹線の営業運転中の脱線は、04年の新潟県中越地震でのケースに続き2例目で、負傷者が出たのは初めてだった。
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