[2015_08_25_01]東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について(東京電力2015年8月25日)
 
参照元
東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について

 平成27年8月25日
 福島県漁業協同組合連合会
 代表理事会長 野崎 哲 様

 東 京 電 力 株 式 会 社
 代 表 執 行 役 社 長
 廣瀬直己

  東京電力(株)福島第一原子力発電所のサブドレン水等の排水に対する要望書に対する回答について

 弊社福島第一原子力発電所および福島第二原子力発電所における事故(以下「本件事故」)により、福島県漁業協同組合連合会の皆さまに大変なご迷惑とご心配をおかけしておりますことを、改めまして心より深くお詫び申しあげます。
 平成27年8月11日に受領いたしました要望書につきまして、下記のとおり回答申しあげます。

                記

 1.サブドレン・地下水ドレン水の浄化・排水の実施にあたっては、運用方針や運用目標及び定期サンプリングによる水質管理方法を厳に遵守すると共に、直ちに海側遮水壁を閉合し海洋汚染防止に努める事
 (回答)
  ・サブドレン、地下水ドレンの運用にあたっては、先に策定した運用方針や運用目標等を厳格に守り、港湾内の水質改善、海洋汚染の防止に努めます。
  ・海側遮水壁の閉合については、サブドレン他水処理施設の稼働状況を確認した後、速やかに作業を開始し、早期の完了を目指します。

 【サブドレン・地下水ドレンの水質管理方法等】
 (1) 一時貯水タンク
  ・サブドレン、地下水ドレンでくみ上げた地下水を浄化設備で浄化し、一時貯水タンクで一旦貯水・分析の上、以下の運用目標を満たしているものを排水します。
   <運用目標>
   セシウム134: 1ベクレル/リットル未満
   セシウム137: 1ベクレル/リットル未満
   全ベータ : 3(1)ベクレル/リットル未満*
   トリチウム : 1,500ベクレル/リットル未満
    *:10日に1回程度のモニタリングで1ベクレル/リットル未満を確認

  ・運用目標以上の一時貯水タンクの水は排水せず、運用目標未満になるまで、繰り返し浄化を行います。ただし、トリチウム濃度が運用目標以上の場合は、海洋へは排水せず、構内のタンク等へ移送します。

 (2) 集水タンク
  ・トリチウムは浄化設備で浄化が出来ないことから、一時貯水タンクの水質が確実に運用目標未満となるよう、浄化作業の前工程である集水タンクにおいても浄化設備への移送前にトリチウム濃度を分析します。
  ・その結果、トリチウム濃度が運用目標以上の場合は浄化設備に移送せず、構内タンク等に移送・貯留します。
  ・また、浄化設備の機能把握および水質の傾向把握を目的に、セシウム134および137は浄化設備への移送前に、全ベータについては週1回程度の頻度で水質分析を行います。

 (3) 中継タンク・各井戸
  ・集水タンクのトリチウム濃度が運用目標未満となるよう、その前工程である中継タンクにおいても、週1回程度、水質分析を行い、集水タンクにおけるトリチウム濃度の評価を行います。
  ・セシウム134および137、全ベータについては、週1回程度、傾向把握を目的とした水質分析を行います。
  ・サブドレン、地下水ドレンの各井戸については、対象数が多いことや作業員被ばく管理の観点から井戸毎の管理は行いませんが、月1回程度、傾向監視のために主要な井戸の水質分析を行います。


 2.排水実施にあたっては、その安全性を第三者の監視の下、しっかりと国民に対してマスコミ等を通じて広報していく事
 (回答)
  ・排水実施にあたっては、弊社および第三者機関にて、一時貯水タンクにおける水質分析結果が運用目標を満足していることを各々確認し、公表いたします。
  ・港湾内外を含めた環境モニタリング結果については、既に新聞・テレビにおいて報道いただいておりますが、引き続きマスメディアのお力もお借りしながら、福島県民の皆さまをはじめ広く社会の皆さまにお知らせいたします。
  ・あわせて、弊社ホームページにて、動画やCGなどを用いてサブドレン計画の全体概要を解説するとともに、サブドレン、地下水ドレンでくみ上げた水の水質分析結果や海側遮水壁の閉合状況等について、迅速かつ丁寧に社会の皆さまにお知らせしてまいります。


 3.福島県漁業者に対する原子力損害賠償法に基づく措置及び排水後、風評被害の魚価低迷等により起こりうる漁業者・水産業者への損害賠償は、福島県の漁業者が試験操業を行うために不可分である事を認識し、且つ本格操業移行後においても原発事故被害の続く限り堅持していく事
 (回答)
 ・損害賠償は、試験操業を円滑に行うために重要であるとの福島県漁業者様のご認識につきましては、弊社としても同様に理解しており、現在の賠償の仕組みは堅持してまいります。
 ・また、本格操業移行の後も風評による魚価低迷等、本件事故との相当因果関係のある損害が発生した場合、これまで同様、個別にご事情を十分に伺い、関係箇所と協議の上、適切に賠償してまいります。


 4.建屋内の水は多核種除去設備等で処理した後も、発電所内のタンクにて責任を持って厳重に保管管理を行い、漁業者、国民の理解を得られない海洋放出は絶対に行わない事
 (回答)
 ・建屋内の汚染水を多核種除去設備で処理した後に残るトリチウムを含む水については、現在、国(汚染水処理対策委員会トリチウム水タスクフォース)において、その取扱いに係る様々な技術的な選択肢、及び効果等が検証されております。また、トリチウム分離技術の実証試験も実施中です。
 ・検証等の結果については、漁業者をはじめ、関係者への丁寧な説明等必要な取組を行うこととしており、こうしたプロセスや関係者の理解なしには、いかなる処分も行わず、多核種除去設備で処理した水は発電所敷地内のタンクに貯留いたします。

 5.国と東京電力は、当該事業以外にも初歩的なミスや同種の原因の再発によるトラブルを起こさないという強い意志の下でしっかりとした対策を講じると共に、福島第一原発構内から海洋への汚染水流出を阻止し、被害者である漁業者・水産業者の立場に立って問題解決にあたる事

 (回答)
 ・漁業者、水産業者の皆さまにご心配をお掛けしている汚染水問題については、「汚染源を取り除く」、「汚染源に近づけない」、「汚染水を漏らさない」という3つの基本方針の下、予防的・重層的な対策として、9つの対策を着実に進めているところです。
 ・これらに加え、福島第一原子力発電所敷地外に影響を与える可能性があるリスクを幅広く抽出する「リスク総点検」を実施しております。今般、抽出したリスクへの対策を計画的に進めるとともに、優先度に応じて順次対策を追加し、更なるリスク低減を図ってまいります。
 ・また、K排水路における放射線測定データの公表が遅れた反省を踏まえ、福島第一原子力発電所で測定する全ての放射線データを公開しております。今一度、漁業者さまとの信頼を培わせていただくためにも、透明性を向上してまいります。
 ・今後とも、安定的に廃炉作業や汚染水対策を進める事が、試験操業の拡大・本格操業の早期開始といった福島県の漁業再興に繋がるという漁業者さまの想いをしっかり念頭に置き、安全最優先で廃炉・汚染水対策に取り組んでまいります。

以上


KEY_WORD:汚染水_:FUKU1_:FUKU2_:廃炉_: