[2017_10_27_02]広がる神戸製鋼改ざん 原発大丈夫?/市民団体「運転やめて調べて」/規制委「報告待ち」 調査に及び腰【東京新聞・特報・右】(東京新聞_Silmaril_Necktie 2017年10月27日)
 
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広がる神戸製鋼改ざん 原発大丈夫?/市民団体「運転やめて調べて」/規制委「報告待ち」 調査に及び腰【東京新聞・特報・右】

 神戸製鋼所の製品データ改ざん問題が原発にも広がりを見せている。同社製品は圧力容器や燃料棒被覆管など原発の重要部分に広く使われており、市民団体などからは「稼働中の原発も停止させて徹底的に調べるべきだ」といった声も上がり始めた。(大村歩) 「神戸製鋼グループは素材から機器・システム、プラント・施設建設にいたるまで独自の製品・技術で原子力産業に貢献しています」。同社ホームページ内にある資料には、誇らしげにこう書かれている。原子炉内の核燃料棒の被覆管、圧力容器のふたなどを製造しているほか、同社鋼板や鉄筋が原子炉建屋などで部材として多数使われているようだ。
 すでに、東京電力福島第二原発3号機の熱交換器の交換用チューブの検査データに不正があったことが判明。東電によると、一連の報道を受けて神鋼側に調査を求めたところ、不正の報告を受けたという。
 東電は「神鋼と直接契約した分の調査を求めたもので、他社製品の部材として使われているものは、個別のメーカーを通じて調べているところ」とする。具体的に同社原発のどこに神鋼製品が使われているかは「調査中なので答えられない」と述べるにとどまった。
 原子力規制委員会は、国内各電力会社などに報告を求めており、二十五日には神鋼幹部カら調査状況を聴取した。規制委事務局の原子力規制庁担当者によると、「神鋼幹部は、不正があったのは東電のケースのみでそれ以外はないと答えたため、引き続き調査を進めるよう求めた」という。
 ただ、規制庁側は「国内原発のどこにどれくらい神鋼製品が使われているか把握しておらず、規制権限を行使してまで調査する段階ではない。まずは神鋼側や各電力の調査を待つ」という。要するに「報告待ち」ということだ。
 こうした状況に危機感を持っているのは脱原発系の市民団体などだ。原子力資料情報室やグリーンピース・ジャパンなど六団体は二十五日、規制委に対し、稼働中の原発を停止させるなどして「包括的で確認可能な透明性のある検査」を行うよう求めた。
 現在来日中のグリーンピース・ドイツ核問題シニアスペシャリストのショーン・バーニー氏は「不正は数十年間続けられており、その間、神鋼は国内外の原発に部品を供給してきた。数千以上になるだろう部品は、通常運転や緊急停止の際に原子炉を冷やすために欠かせない。規制委は広範で厳格な調査を実施しなければならない」とする。
 昨年、フランスで使用中の日本製原発部品に強度不足が発覚した問題で、製造会社が国内原発にも同種部品を納入していたことから、規制委は電力各社に調査を指示したが、各社の報告書を追認するのみで、あっさり「安全」と結論を出した経緯がある。市民団体側は、規制委がまたこうした調査で済ませるのではないかと懸念しているのだ。
 元原子力プラント技術者の後藤政志氏は「強度は要求通りにあると考えて設計するのが普通。その前提が崩れるのは大変な問題だ」とした上で、「規制委はもっと積極的に安全上重要な部分に神鋼製品が使われてないか調べるべきだし、面倒がらずに非破壊検査なども行うべきだ」と話した。

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