[2018_06_14_04]「廃炉やっと認めたか」 福島第二 避難者ら安堵、怒り(東京新聞2018年6月14日)
 
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「廃炉やっと認めたか」 福島第二 避難者ら安堵、怒り

 東京電力が福島第二原発の廃炉方針を明らかにし、福島県内の原発は将来にわたり、全て動かなくなることになった。福島第一原発事故で生活の基盤を失った避難者らからは安堵(あんど)とともに、「当たり前のことをやっと認めたか」と冷ややかな声が上がった。
 原発事故で福島県南相馬市から千葉県松戸市に避難している高田良子さん(69)は「東電の判断は遅過ぎる。前を向こうと思うが日々の暮らしも大変。原発の再稼働のニュースを聞くとつらく、怒りもよみがえる」と憤る。松戸市では避難者と住民の交流サロン「黄色いハンカチ」の運営に携わっており、「東電はこれをきっかけに脱原発に転換すべきだ」と話した。
 原発事故発生以来、現地の様子を取材し続けてきた福島県三春町の写真家・飛田晋秀(ひだしんしゅう)さん(71)は「当たり前のことを、やっと東電は認めたのかと思う。地元では、一時、再稼働の可能性もうわさされたが、第二で働く地元の職員に聞くと、再稼働はあり得ないと話していたのを覚えている」と話した。
 原発事故後、第一と第二の両原発が立地する双葉郡からの避難民の実態調査を続けてきた立命館大の丹波史紀准教授(社会福祉論)は「県知事や県議会が第二原発の廃炉を要求していたのに、東電は首を縦に振らなかったのだから、極めて大きなニュース。避難住民のこれからの帰還にも関わってくると思う」と話した。
 東電に対する「生業(なりわい)訴訟」の原告の一人で、原告たちの「証言集」の編集長を務める根本仁さん(70)は「今月六日に参院議員会館で第二の廃炉も含めて国と東電に要望行動を行ったばかりだ。ようやく認めたのかという気持ちだ」と語った。 (長久保宏美、飯田克志)


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