[2018_06_30_03]津波の傷痕今も=プールに燃料1万体―廃炉方針の福島第2原発(時事通信2018年6月30日)
 
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津波の傷痕今も=プールに燃料1万体―廃炉方針の福島第2原発

 東日本大震災から7年を経て、廃炉方針が決まった東京電力福島第2原発(福島県富岡町、楢葉町)。
 震災で津波に襲われたが、炉心の損傷は免れ、現在も施設内に約1万体の核燃料が保管されている。使われなくなった機器の一部はさび付いたままで、津波の深い傷痕を今も残している。
 時事通信が6月下旬、東電の許可を得て施設内を取材した。
 第2原発は、事故が起きた第1原発の南12キロにある。津波は第2原発にも押し寄せ、1、2号機が大きく浸水した。ただ、第1原発と違い外部電源が使えたため、全4基の原子炉を冷温停止状態にすることができた。
 最初に取材した海水熱交換器建屋には原子炉冷却用ポンプがあり、津波で3号機以外のポンプが機能を失った。建屋内には当時の機器が残されており、電源盤は砂にまみれ、近くの照明器具の中に水が入ったままだった。新たに設置された電源盤に通じる入り口の1カ所はコンクリートで密閉され、事故後に対策を講じた様子がうかがえた。
 使用済み燃料プールがある4号機の原子炉建屋最上階にも上がった。圧力容器内にあった燃料は全てプールに移し、1〜4号機に計約1万体が保管されているという。構内の移動中には、土のうでつくった高さ約3.4メートルの仮設防潮堤や、津波でひしゃげ、さび付いた装置も見えた。
 東電の小早川智明社長は廃炉方針を表明した際、「このまま曖昧な状況を続けること自体が復興の足かせになる」と語った。取材に同行した広報担当の田中和夫さんは、1980年代の稼働当初から第2原発で働いてきたといい、「寂しい気持ちもあるが、会社がその方向性を選んだならば」と複雑な表情を見せた。


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