[2020_04_10_02]内閣府有識者会議 日本海溝地震で想定 福島第1に大震災級津波 防潮堤超え、3メートル以上浸水(東奥日報2020年4月10日)
 三陸沖から日高沖の日本海溝・千島海溝沿いで巨大地震が起きた場合、東京電力福島第1原発(福島県大熊町、双葉町)に東日本大震災と同程度の高さ13・7メートルの津波が襲来し、敷地が3メートル以上浸水するとの想定案を内閣府の有識者会議がまとめたことが、9日、分かった。建設中の海抜11メートルの防潮堤も超え、汚染水が増加、流出したり、廃炉作業に影響したりする恐れがある。
 両海溝沿いでは想定されうる最大クラスの地震発生が切迫していると評価しており、東電は津波対策の見直しを迫られる可能性がある。有識者会議は月内にも最終結果を公表する。
 想定案では、三陸沖から日高沖でマグニチュード(M)9クラスの巨大地震が起きた場合、第1原発北側に13・7メートルの津波が押し寄せ、1〜4号機原子炉建屋がある海抜8・5メートルの敷地が最大3・3メートル浸水する。東日本大震災の津波は約14メートルだった(発生当時の高さの基準では15・5メートルと表記)。
 流れ込んだ水が建屋地下の汚染水と混ざって汚染水が増えるほか、津波の引き波による流出や、浸水で設備に被害があれば廃炉工程が遅れる恐れがある。
 政府の地震調査委員会が2017年12月、千島海溝地震の切迫性が高まっていると評価したことを受け、東電は10・3メートルの津波によけ敷地が最大1・8メートル浸水すると試算。19年7月から海抜11メートル、全長約600メートルの防潮堤を建設しており、今年9月までの完成を目指している。
 より大きな津波に備え、各建屋の開口部をふさぐ作業も進めているが、完了は21年度未の予定。
 想定案は、第1原発の南約12キロにある福島第2原発(同県富岡町、楢葉町)でも最大10・9メートルの津波を想定しているが、浸水は深さ20センチにとどまるとしている。同県内では南相馬市で19・0メートル、浪江町で18・9メートルの津波が押し寄せると推計している。

日本海溝・千島海溝地震 東日本大震災の震源を含む東北沖から北海道・日高沖に続く「日本海溝」と、十勝沖から千島列島沖にかけての「千島海溝」では、マグニチュード(M)7〜8級の地震が過去に多発している。政府は、北海道から福島にかけての1道4県の沿岸部などにある市町村を対策地域に指定。M9.0と想定を超えた東日本大震災を受け、最大規模の津波や浸水範囲を見直している。
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