[2015_09_16_01]原発避難「2〜3日以内」東通事故で30キロ圏住民 県試算 輸送能力に懸念の声 (東奥日報2015年9月16日)
 
 県は15日、東北電力東通原発の事故を想定した原子力災害避難対策検討会を開き、原発半径30キロ圏内の住民が陸路、海路の現有輸送能力を使って避難するのに「2〜3日以内」かかるという新たな試算を示した。年内に避難対策の骨格を固め、年度内をめどに市町村避難計画の修正を行いたい考え。一方、出席した市町村担当者からは「現有の移動手段だけの避難想定では輸送能力が足りない」など懸念の声が上がった。
                  (阿部泰起)

 県の検討案では、保有台数が限られているバスは自力で避難できない要支援者に限定し、それ以外は自家用車を使用。15〜30キロ圏内のむつ市中心部住民には民間船舶を使う海路避難も提示した。
 海路では大間港からの定期航路で函館港を経由し、青森港に入る経路もあった。
 試算によると、対象者が約5万3千人と多いむつ市中心部住民の避難は民間船舶とバスが1日3往復した場合、青森市の避難所まで「3日以内」かかり、1日5往復ならば「2日以内」で避難できるという。
 船舶だけを使った避難ならば7日間かかる。海上自衝隊が平時の輸送能力を明確にしていないため、海自艦船による避難は試算に織り込んでいないが「災害時は協力を求める」(県)という。
 会議では、むつ市や県医師会担当者が原発北側の住民が陸路で避難する場合、原発に近づく形で国道279号を南下する経路を問題視した。
 終了後の取材にむつ市防災政策課の川村正明総括主幹は「たった1本の道路で南下するのは危険がある。今ある輸送能力だけに頼った計画が市民にとって安全な方法なのか」と懸念を表明。県環境生活部の大澤隆夫次長は「陸路を使えない場合どうするか考える必要がある」と語った。
 また、避難所の収容人数を推計し直したところ、青森市の新県総合運動公園や青森工業高校、弘前市の県′武道館は想定した人数を収容しきれないと報告した。
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