[2017_05_12_01]東通原発 他電力と連携へ 「説明ない」「先見えない」 地元に戸惑い広がる 柏崎刈羽 再建の柱 視界不良 再稼働めど立たず(東奥日報2017年5月12日)
 
 東京電力ホールディングスが東通原発(東通村)を他電力会社と連携し管理・運転する方針を示したことに、県内の地元関係者は11日の取材に「東電から説明がない」「先行きが見えない」など困惑の声を上げた。
 越善靖夫東通村長は「東電側から説明がないので、現段階ではコメントできない」と話し、県エネルギー総合対策局の大澤隆夫局長も「どのような前提の話なのか分からず、先行きも見えない」と述べるにとどめた。
 東電が経営再建計画で打ち出した原発事業の「パートナー探し」は難航が予想される。同村の東電原発は、東北電力の東通原発と敷地が隣り合う。しかし、東電との原発協業について原田宏哉・東北電社長はこれまでの記者会見で「(東電との)提携や再編は全く念頭にない」と極めて消極的な姿勢を見せている。
 東電が想定する原発協業の詳細は不明だが、東通原発1号機は約4620億円と巨額の建設費が見込まれることも、電力小売り全面自由化などで経営環境が悪化している電力各社にとってネックとなりそうだ。
 (阿部泰起、工藤洋平) 東京電力が11日に公表した新たな経営再建計画で収益改善策の柱と位置付けた柏崎刈羽原発(新潟県)は、原子力規制委員会による審査が進んでいるものの、相次ぐトラブルや地元首長の反発で再稼働のめどは全く立っていない。広瀬直己社長も「柏崎刈羽が動かないと苦しいが、今の段階でいつ動くと言うのは難しい」と述べ、計画実現の困難さを認めている。
 東電は、柏崎刈羽6、7号機の再稼働に向けた審査を2013年9月に申請。事故を起こした福島第1原発と同じ沸騰水型と呼ばれる原発の中では最も早く審査が進み、重大事故対策など技術的な審査は今年4月にほぼ終了した。
 一方、新潟県の米山隆一知事は、第1原発事故の原因や自治体の避難計画の実効性などを検証しなければ柏崎刈羽原発の再稼働について議論できないとの立場。検証作業に「数年かかる」としており、再稼働に必要な地元同意が得られる見通しは立っていない。
 さらに、審査終盤になって、東電が重大事故時の対応拠点とする計画だった免震重要棟の耐震性不足を数年前に社内で把握しながら、規制委に誤った説明を続けていたことや、防潮提が液状化で損傷する恐れがあることが相次いで判明。東電の安全意識の低さに対する規制委や地元の疑念は払拭されていないのが現状だ。
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