[2020_02_13_01]伊方原発トラブル3件 原因特定できず 駆動軸に深めの傷も 規制委に経過報告(毎日新聞2020年2月13日)
 
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伊方原発トラブル3件 原因特定できず 駆動軸に深めの傷も 規制委に経過報告

 四国電力は12日、定期検査中だった伊方原発3号機(愛媛県伊方町)などで1月に相次いだトラブル3件について、原子力規制委員会に調査の途中経過を報告した。原子炉で制御棒が引き上がった状態になったトラブルについては、制御棒とつながる駆動軸に深めの傷があったことなどがわかったが、トラブルとの関連性は不明とした。いずれも現段階で原因は断定できす、引き続き調査するという。
 同原発では1月、核分裂反応を抑える制御棒が約7時間引き抜かれた状態になったほか、クレーンでつり上げた燃料集合体を点検用ラックの枠に接触させる、一時電源を喪失するといったトラブルが相次いだ。
 四電は規制委への報告に先立ち、県庁で報道陣に対して報告内容を説明。制御棒の引き上がりについては、重要な手順抜けなどの作業ミスは考えがたく、使用工具や計測器、製造、点検、運転履歴などに問題はなかったとした。ただ、駆動軸の一部に比較的深い接触痕があり、制御棒頭部には腐食生成物とみられる堆積(たいせき)物を確認したという。
 また、燃料集合体が点検用ラックの枠に接触し乗り上げたことにより、燃料集合体落下信号が発信したトラブルについては、点検用ラックの開口部などの寸法が使用済み燃料ラックに比べ小さいことや、使用済み燃料プールの水中照明により点検用ラックの操作員側に影ができ、見えづらい状況だったと説明。「手順そのものは守られていた。作業の改善の余地はあるかと思う」との認識を示した。
 一時電源喪失については、送電線につながる電気回路の一部で故障を確認していたが、調べたところショートしたとみられる痕跡などがあったという。このトラブルで3号機の核燃料プールの冷却が43分間停止。プールの水温は電源喪失前の33・0度から34・1度へと1・1度上昇したが、「保安規定で定める制限値65度に対して十分な余裕があった」「冷却状態に問題はなかった」とした。評価上、65度までの到達時間は約20時間という。
 四電は、引き続き原因調査や推定原因の分析、再発防止対策の検討などを実施するとしている。【木島諒子】
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