[2021_02_16_10]現在の問題としての原発出力調整と原発を調整電源として利用する動き 今名人(メールマガジン読者)(たんぽぽ舎2021年2月16日)
 
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現在の問題としての原発出力調整と原発を調整電源として利用する動き 今名人(メールマガジン読者)

 33年前の1988年2月12日、四国電力は伊方原発2号炉で2回目の「出力調整実験」を実施。
 その前年の10月、四電は同じ伊方2号炉で密かに出力調整実験を実施。
 終わった後に九州の市民グループが玄海原発の安全性を追及する中で発覚。
 これを南海日日新聞が報じて問題化。
 同年10月28日、四電は、翌年2月に2回目の実験実施を発表。
 全国的な反対運動が起こる。
 多くの専門家が「原発は出力を下げると不安定になり制御できなくなる恐れがある」と危険性を訴えた。
 1988年1月14日には、日本科学者会議の中島原子力研究委員会委員長が愛媛県庁で記者会見。実験の危険性を訴え、中止と第1回実験のデータ提出を要求。
 1月25日、2月10〜11日には、全国から集まった市民が香川県高松市の四電本社前などで実験反対・抗議の集会やデモを実施。
 12日の実験当日には5000人が四国電力本社を囲んで抗議。
 しかし四国電力は出力調整実験を強行。
 当時電力会社は、原発を増やしすぎて、電力需要が少ない時間帯に電気が余ることが問題化。原発の出力調整で電力需給のバランスをとることを目論む。
 四国電力に先立ち1980〜86年に、東京電力が5つの原発で、関西電力が4つの原発で、出力調整実験を実施。
 伊方原発の出力調整実験は、これらに続くもの。
 加圧水型原発を持つ5つの電力会社とメーカーが参加して実施。
 当時、電力各社は、この実験の3〜4年後から出力調整を日常的な営業運転に取り入れる計画だった。
 四国電力は、実験前は「出力調整実験は安全」と宣伝。実験後は「実験は成功」と主張。
 しかしその後、出力調整は日本のどの原発でも行われていない。
 2018年秋に九州で太陽光発電の出力抑制が行われた際、「原発で出力調整をしよう」という声があがった。
 経産省や経済界が進める小型原発は、電力需要に応じて頻繁に運転〜停止させる調整電源として使えることが利点とされる。
 原発の出力調整と原発を調整電源として利用することは、過去の問題ではないようだ。
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