[2023_10_29_03]柏崎刈羽原発防災訓練 5キロ圏60人がエアクッション艇で避難(毎日新聞2023年10月29日)
 
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柏崎刈羽原発防災訓練 5キロ圏60人がエアクッション艇で避難

 10:54
 東京電力柏崎刈羽原発の重大事故を想定した住民避難訓練などが28日あり、原発から5キロ圏(PAZ)の住民らが参加した。国の原子力総合防災訓練の2日目で、無人航空機(ドローン)によるモニタリング訓練も行われた。
 新潟県柏崎市東港町の柏崎中央海水浴場であった船舶避難訓練には、西中通地区の住民60人が参加した。海上自衛隊のエアクッション艇(ホーバークラフト)2台がごう音ととも砂浜に揚陸。住民たちは砂浜を歩いて2台に分乗した。
 ホーバークラフトは1台に約200人収容可能。コンテナ状に仕切られた薄暗い空間で、金属むき出しのベンチに身を寄せ合うように座った住民たちは耳栓をし、無言のまま辺りを見回し出発を待った。沖合に停泊した海自輸送艦「おおすみ」が後部ハッチからホーバークラフトを収容し、上越市の直江津港に向かった。
 子供と近くで様子を見ていた柏崎市比角の男性会社員(30)は「大きくて驚いた。子供は喜んでいるが、乗るようなことがないように東電はしっかり管理してほしい」と注文を付けた。同市半田の男性(76)は「あれで逃げるのはごめんだね。すぐに車で逃げる。UPZ(原発から5〜30キロ圏)だからって屋内退避してたら逃げられない」と吐露した。
 午後からは、柏崎中央海水浴場で国のドローン2台によるモニタリング訓練を実施。上空の放射線量を測定、解析し地上の値を算出するという。夜には国による豪雪時を想定した非公開の机上訓練が行われた。刈羽村で予定されていたヘリコプターによる避難訓練は、荒天で中止された。
 一連の訓練を視察した花角英世知事は「避難誘導などに課題もあったが真剣に取り組んでいた。(豪雪時を想定した机上訓練を)国が非公開とする基準は分からないが、県民への周知は大切だ」、桜井雅浩・柏崎市長は「最悪に備えて機器や車両などの避難方法の選択肢を用意しておく必要がある」と話した。29日はUPZ住民の一時移転訓練や自家用車での避難訓練などが行われる。【内藤陽】
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