[2017_03_27_01]もんじゅ模擬燃料170体不足 廃炉の障害…原子力機構、ずさん管理露呈(産経新聞2017年3月27日)
 
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もんじゅ模擬燃料170体不足 廃炉の障害…原子力機構、ずさん管理露呈

 昨年末に廃炉が正式決定した高速増殖炉原型炉「もんじゅ」(福井県敦賀市)の燃料取り出し作業に不可欠な模擬燃料が、少なくとも170体以上不足していることが26日、分かった。もんじゅの燃料は互いに支え合うような形で原子炉容器に入っており、燃料を抜く際は、燃料と同じ形の金属製の模擬燃料を代わりに入れる必要がある。異常事態にも燃料が取り出せない状況を放置していたことになり、日本原子力研究開発機構のずさんな体質に改めて批判が集まりそうだ。
 不足分は新たに製造する必要があるといい、燃料の取り出し作業だけで5年半と長期化している主な要因となっている。模擬燃料の新規調達については、4月に公表するもんじゅの廃炉に関する「基本的計画」にも盛り込まれる見通し。
 原子炉容器には現在、198体のプルトニウム・ウラン混合酸化物(MOX)燃料と、172体の劣化ウラン燃料の計370体の燃料が入っているが、原子力機構によると模擬燃料は約200体しかないという。
 この模擬燃料についても、平成2〜3年にもんじゅに搬入されたもので、全てがそのまま使えるかは不明。1体ずつ検査して調べる必要があるが、関係者によると「全て作り直す必要がある」という話も出ているという。原子力規制委員会は、もんじゅの燃料が今も炉内にあることが廃炉作業における「最大のリスク」と指摘。原子力機構に対し可能な限り早期の取り出しを求め、燃料取り出しに時間を要する理由や具体的工程を示すよう求めている。
 原子力機構によると、取り出し期間を短縮するため、全てを模擬燃料に置き換えずに燃料を取り出すなど、新規調達をしなくて済む方法についても検討しているというが、安全面などで規制委の了承が得られるかは不明だ。
 もんじゅをめぐっては、政府が昨年12月に廃炉を正式決定。5年半で使用済み燃料を取り出し、平成59年に解体を終える大まかな工程を示した上で、今年4月に基本的な計画を策定する方針だ。
 MOX燃料を使い、発電しながら消費分以上のプルトニウムを生み出すもんじゅは7年にナトリウム漏れ事故を起こすなどトラブルが続き、運転日数はわずか250日にとどまる。政府は使用済み燃料を再利用する核燃料サイクル政策の中核施設と位置付けていた。



 もんじゅの燃料取り出し もんじゅの冷却材に使われているナトリウムは、水や空気に触れると激しく反応するため、取り扱いが難しい。具体的には(1)アルゴンガスで満たした空間で取り出し(2)ナトリウムで満たした炉外燃料貯蔵槽で一時保管(3)高温の蒸気で燃料についたナトリウムを洗浄(4)燃料1体ごとに缶詰缶に封入(5)缶詰缶に入れたまま水の張った燃料池(水プール)で保管−という工程が必要となる。日本原子力研究開発機構はこれまでに、2体の燃料を取り出した実績しかない。

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