[2018_03_20_02]Jパワー、いばらの道 進退窮まる核燃サイクル/大間原発建設差し止め請求棄却(デーリー東北2018年3月20日)
 
参照元
Jパワー、いばらの道 進退窮まる核燃サイクル/大間原発建設差し止め請求棄却

 電源開発(Jパワー)が青森県大間町で建設中の大間原発を巡り、函館市の市民団体が同社や国に建設差し止めなどを求めた訴訟の判決で、函館地裁は19日、建設差し止めの請求を棄却した。
 原発建設について、原告の訴えを「危険性を直ちに認めることは困難」と退けた函館地裁だが、肝心の核燃料サイクル政策が進退窮まる中、Jパワーに待ち受けているのは、いばらの道だ。
 高速増殖炉開発が原型炉もんじゅ(福井県)の廃炉によって頓挫する中、サイクル政策の頼みの綱は、使用済み核燃料の再処理で取り出すプルトニウムを軽水炉(原発)で燃やすプルサーマル。通常の原発が1基当たり年間約0・3トンを消費するのに対し、全炉心でMOX燃料を使う大間は4倍近い1・1トンを見込み、プルサーマルの“切り札”と目される。
 一方で、全国16〜18基でプルサーマルを導入するという電力業界の計画は現状、2017年に再稼働した関西電力高浜原発3、4号機(福井県)などにとどまる。「15年度までに」と掲げた開始時期も、東京電力福島第1原発事故後、その見直しにすら着手できていない。日本が保有する約47トンのプルトニウム利用にめどが立たない現状は、安全保障の側面からも世界各国から厳しい視線が注がれている。
 中核を担う日本原燃の再処理工場(六ケ所村)を巡っても、1993年の着工から既に23回の完成延期を重ねた上、安全管理体制の問題が相次いで発覚し、事業者としての資質が根底から揺らぐ。3兆円近い建設費を投じる妥当性に疑念は絶えず、地元関係者も「自分で自分の首を絞めているだけだ」と眉をひそめる。
 もとより、大間原発の新規制基準適合性審査はいまだ序盤の域を出ず、使用済みMOX燃料の処分といった重い課題も棚上げのまま。Jパワーの南之園弘巳取締役常務執行役員は19日の記者会見で「今年後半(の審査終了と本格工事再開)に向けて全社を挙げて取り組む」と強調したが、その足元は脆弱(ぜいじゃく)だ。

KEY_WORD:ROKKA_:OOMA_:MONJU_:FUKU1_: