[2020_11_27_02]あきらめないで、再処理工場NO! 核燃料サイクルNO!の世論拡大を! コロナ禍、ピースサイクル2020の取り組み (下) 吉野信次(ピースサイクル2020 全国ネットワーク共同代表)(たんぽぽ舎2020年11月27日)
 
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あきらめないで、再処理工場NO! 核燃料サイクルNO!の世論拡大を! コロナ禍、ピースサイクル2020の取り組み (下) 吉野信次(ピースサイクル2020 全国ネットワーク共同代表)


◎再処理工場、25回目の完工延期!

 六ヶ所村行動の最終行動は、24日に行った六ヶ所村、日本原燃本社、青森県での申し入れ行動であった。市民や各種の団体からお預かりしたピースメッセージを3ヵ所で冒頭に紹介し、「積極的な政策提言なので、しっかり読んで政策に反映してほしい」ほしい」と要請、さらにメッセージを寄せていただいた市民に返事を書いていただきたいことも強く要請した。
 今年の要請行動は、8月21日に日本原燃が、「25回目の完工1年延期」を表明した直後だけに、マスコミからも多くの取材があり、掲載してくれた。
 ピースサイクル行動の中でマスコミに一番紹介される地域が六ヶ所村行動である。六ヶ所村(東奥日報、デイリー東北)、日本原燃(デイリー東北)、青森県(NHK、時事通信、陸奥新報)で、NHKは、21時の「ニュースウオッチナイン」でも報道された。
 私たちピースサイクル(申し入れ行動参加者7名)は、25回もの竣工延期を踏まえて、「もはや再処理工場の稼働は不可能であること」「国の政策を信じて再処理工場と核燃料サイクルにしがみついていると青森県が最終処分場になってしまうこと」「村民・県民の命と生活を守るためにも自治体から再処理工場の見直しと核燃料サイクルをやめることを勇気をもって提言すること」を強く要請した。
 かつては、こうした要請をすると、「首都圏のために引き受けているのだ」と開き直っていたが、今では、25回もの竣工延期に「遺憾である」と表現せざるを得ない事態に追い込まれていた。それでも、青森県は「国の国策を信じて進める」と言いきった。

◎再処理問題、核燃料サイクル問題が大きな課題にならないのか?

 ピースサイクル六ヶ所村行動は、25年という長い年月、再処理工場の稼働ストップ!核燃料サイクルの見直し!を求めて9日間の自転車対の訴え、原発関連の施設や自治体へ「質問と要請」を重ねてきた。
 行動の最後である六ヶ所村、日本原燃、青森県の対応は、村を二分した大闘争を経た後だったために、「訪問拒否」という態度であり、青森県民でなければ合わないと言いきった時もあった。こうした中で私たちも六ヶ所村の仲間、青森県内の仲間たちと連携することを学んだ。
 また、六ヶ所村行動の前にピースメッセージを寄せていただくお願いを継続してきたが、この取り組みの中でも考えさせられることがある。
 9年前の「3・11」以降、脱原発、原発反対の世論は大きく拡大された。ところが、再処理工場や核燃料サイクル問題になると「わからない」市民が多いと感じている。
 脱原発の考えと行動をされている人だろうと思われる仲間たちにピースメッセージの要請をするが、内容が分からないから作成できないとのメールをいただくことが多くある。
 私たちは、こうした現実を踏まえて、一昨年にはパンフレット『やめよう再処理!とめよう核燃!〜核燃料サイクルSTOPで原発さようなら』をたんぽぽ舎と共同で発行もした。それでも、再処理工場や核燃料サイクルについて理解ができる市民は圧倒的に少ない。
 なぜだろうか?と問い続ける25年間でもあった。「3・11」以降でも広がらない要因は、私たち脱原発・反原発運動を進める側にもあるのではないかと考える。原発を「トイレなきマンション」だという指摘をしてきた。
 トイレとは何か?最終処分場ではないか。
 原発の稼働に賛成してこなかったとしても、阻止できなかったがゆえに、使用済み燃料が各原発の敷地内に「乾式貯蔵」などで保管され、行き場を探している。
 私たちは、安全に脱原発に向かい、かつ未来世代への「核のゴミ」減量化のためには、使用済み燃料の出口のむつ市のリサイクル貯蔵施設への使用済み燃料の搬出を止め、再処理工場を操業させない。そのためにも原発の運転(再稼働)をさせないことだと思う。使用済み燃料を再処理しないで、最終処分する道を選択する道しかないと
考える。
 「もんじゅ」の廃止で核燃料サイクルは破綻したにもかかわらず、自公政権は、日本の核武装化をめざしてか、核燃料サイクルを放棄していない。
 だからこそ、「核のゴミ」問題も考えなければならない大きな課題である。
 多くの市民や各種団体から目頭が熱くなる再処理STOP!核燃料サイクル廃止を求めるピースメッセージ運動は、大変有意義な取り組みだと理解している。
 反原発・脱原発の世論のように、再処理工場の稼働ストップ!核燃料サイクル見直しの世論を拡大していきたい。

◎北海道での最終処分場をめぐる動きから

 8月14日、北海道の寿都町が、高レベル放射性廃棄物(核のゴミ)施設誘致に向けた第一段階の文献調査受け入れを表明した。さらに9月11日には、泊原発の隣、神恵内村の商工会が文献調査応募検討を求める請願を出した。こうした動きの中で、神恵内村で26日、資源エネルギー庁と原子力発電環境整備機構(NUMO)による初めての住民説明会が開かれた。
 今回の「核のゴミ」誘致の動きは、幌延の研究所の延長が引き金になっている。幌延の研究は、日本原子力研究開発機構による核のゴミの地層処分の基盤研究であり、20年で終了することにより、日本での地層処分が可能だと証明しようとした。ところが研究は終了しなかった。
 この「未終了」は、この先何年研究しても日本では地層処分は不可能だということを証明したことを意味する。
 焦った政府とNUMOは、研究の終了を待つことなく、見切り発車し処分地選定を急いだ結果であろう。
 日本では、火山が多くあり、至る所に断層があり、地下水が豊富で10万年も安定した地層は存在しない。
 核のゴミを地下深く埋め捨てることは不可能である。
 このような中での政府とNUMOが仕掛けた「文献調査」攻撃は、断じて許さない運動を全国各地で作ることが重要である。
 経済基盤が弱いと思われている北海道を狙い撃ちにした「北の大地を核のゴミ捨て場」にしてはならない。
         (「月刊先駆」11月990号より了承を得て転載)
KEY_WORD:ROKKA_:TOMARI_:MONJU_:寿都町_調査応募検討_:神恵内村_文献調査_: