[2022_02_16_08]電事連、プルトニウム削減へ電力間融通(東奥日報2022年2月16日)
 
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電事連、プルトニウム削減へ電力間融通

 電気事業連合会(電事連)は、電力各社が英仏に保管しているプルトニウムの消費に向け、各社間で融通し合い総量を削減する方向で調整している。一般の原発でMOX(プルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料を燃やす「プルサーマル」を進めている電力会社が、遅れている他社の保有分を先行して使用する。国の原子力委員会はプルサーマルに必要な分だけ再処理を認めるとの方針を示しており、プルトニウム削減が進まなければ日本原燃・六ケ所再処理工場(青森県六ケ所村)の稼働が制限される可能性もある。
 電事連は近く融通案を公表する。プルトニウム削減に向けた電力間の連携・協力は、原子力委員会が2018年に決定した指針にも盛り込まれ、電事連が検討を重ねていた。
 日本は使用済み核燃料の再処理を英仏に委託し、MOX燃料として国内で使ってきたが、英国では11年に燃料の加工工場が閉鎖した。検討案では、プルサーマル原発が稼働している電力会社の英国保管分プルトニウムを、プルサーマルが未稼働の社の仏国保管分と帳簿上で「交換」し、先に消費することとしている。プルサーマルが進む電力会社にとっては、燃料加工できない英国保管分を仏国経由で消費できるようになる。
 日本は20年末時点で、英仏の約37.2トン(英国約21.8トン、仏国約15.4トン)を含め計約46.1トンのプルトニウムを抱える。プルトニウムは核兵器に転用可能なため、日本の大量保有に対し国際社会から懸念の声が上がっていた。
 一方、六ケ所再処理工場は22年度上期の完工を予定、原燃は30年度までに年間最大処理能力800トンのフル稼働ができるよう準備を進める。フル稼働では年間約7トンのプルトニウムを回収する見込みで、電事連もこれに呼応するよう、プルトニウムの利用(消費)量を段階的に引き上げる方針を打ち出している。
 高速増殖原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり、プルトニウム消費の方法は現時点でプルサーマルしかない。ただ、国内で再稼働したプルサーマル原発は関西電力などの4基のみ。
 電事連は20年12月、新たなプルサーマル計画で「30年度までに少なくとも12基で実施を目指す」としたものの、半数以上の電力会社がプルサーマルに着手できておらず、消費が順調に進むかは見通せない状況だ。
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