[2018_06_30_07]東電原発の地質調査 敷地高台の地盤把握 東電説明 工事再開時期は未定 東電原発の建設再開 東電社長が意欲示す 東電、青森に事業所開設へ 「立地地域ないがしろ」 下北首長ら不満や苦言(東奥日報2018年6月30日)
 
 建設が中断している東京電力東通原発(東通村)で東電が2018年度後半から20年度にかけて本格的な地質調査を実施すると表明したことに関し、東電青森事務所の小野良典副所長は29日、調査対象場所は原子炉建置から離れた敷地内の高台で、電源施設などを設置する構想があることを明らかにした。一方、地質調査はデータ収集が目的で、新規制基準への対応時期や本格的な工事再開などについては「何も決まっていない」とした。     (三好陽介、工藤洋平)
 小野副所長は同日、県庁で会見し、地質調査の方法や狙いを説明した。原子炉建屋周辺に比べ、これまで高台についてはボーリング調査のみで詳細な地質調査を実施していなかったとし、「試掘坑」と呼ばれる横穴を掘り地盤の状態を詳しく調べる方針を示した。
 東電は東通原発の建設や運営の他社との共同事業化を目指している。小野副所長は調査の目的を「安全性の向上や、東通原発の拡張可能性の評価に必要なデータ収集のため」と説明。調査結果を国内のほかの電力会社などに提供することについては「(共同事業化の)判断材料になると思う」と語った。
 東電は東通村に原発2基の建設を計画しており、1号機は11年1月に着エしたが、直後の東日本大震災以降は工事を中断。今回の地質調査と工事再問の関連について、小野副所長は「直接は結びつかない。(工事再開が)いつとは申し上げられない」と述べるにとどめた。
 東通村の越善靖夫村長は29日、取材に対し「東電は東日本大震災で工事が止まってから、7年以上工事再開の見通しを示してこなかった。いきなり地質調査をしたいと言っても、どのようにして工事再開に持っていくのか説明がない。工程が決まっていなくても、いつまでに何を目指すのかの見通しを地元にきちんと説明すベきだ」と話した。

 東通原発の建設再開 東電社長が意欲示す

 東京電力の小早川智明社長は29日、建設が中断している東通原発周辺の地質調査で他の電力会社と協力し結果を共有する方針にっいて、記者会見で「再スタートするにあたり、より安全性に優れたものをつくっていきたい」と述べ、建設再開に意欲を示した。
 東電は他社との共同事業化を目指しており、小早川氏は「東通の開発を共同で進める上で(地質調査は)大変重要な一歩だ」と強調。事業に参加してもらうために「魅力的なスキームを提案していきたい」と話した。

 東電、青森に事業所開設へ
 「立地地域ないがしろ」
 下北首長ら不満や苦言

 東京電力ホールディングス(本社東京)が、青森市に事務処理業務などを行う事業所開設に向けた調整を進めているとの本紙報道を受け、むつ市の宮下宗一郎市長は29日の定例会見で「われわれ立地地域に対して事前相談もなく調整を進めている。信頼関係に反する行為だ」と不満を示した。
 むつ市には使用済み核燃料中間貯蔵施設を運営するリサイクル燃料貯蔵(RFS)が立地し、東電が8割を出資している。
 宮下市長は、青森市に電力会社の事業所立地が相次いでいることに触れ「むつ下北は国策を受け入れている。県は、原子力立地地域に原子力関連の企業誘致を重点的に図るベきと考えているが、一切考慮されなかった。ゆゆしき問題だ」と苦言を呈した。
 東電東通原発が建設中の東通村の越善靖夫村長は「青森市に開設すること自体は構わないが、立地地域に説明して理解を得ることが大切。だが、東電からの事前説明は何もなかった。地域をないがしろにしている」と強い口調で語った。
 むつ商工会議所の其田桂会頭(青森地域エネルギー施設立地商工団体協議会会長)は「原発工事が中断し地域経済への打撃が大きい中、立地地域への事業所の誘致に協力してくれるような姿勢がなければ因る。あまりにも無視している。怒り心頭だ」と慣り、「県や事業者、経済産業省に対して、市と連携し、商議所として苦言と要望の行動を起こしたい」と話した。
 (工藤洋平、中村一彦)
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