[2021_02_18_10]むつ市「共用案 存在せず」 中間貯蔵 13日に続き声明 青森と対立あってはならない 福井選出国会議員 国に積極関与要求(東奥日報2021年2月18日)
 
 むつ市は17日、関西電力の使用済み核燃料搬出先として、電力各社によるむつ市の施設共用化案が既成事実的に報じられているとして、「そもそもそのような案は存在すらしていない」と否定する見解を発表した。市は13日にも、共用案に対し「あり得ないこと」と反発する姿勢を打ち出しており、5日間のうちに2度声明を出す異例の対応を取った。
 市は13日に、関電がむつ市に共用化案を提示しておらず、電気事業連合会による共用化案を市が認めたり、議論を始めたりした事実もないとする見解を公表。関電の原発再稼働は、むつ市の中間貯蔵施設と一切関係がないと強調していた。この声明発表以降も共用化案への既成事実的な言及があったとして、17日にあらためて声明を出した。
 13、17日いずれも宮下宗一郎市長ではなく、市エネルギー戦略課による声明としている。 (工藤洋平)

 「青森と対立あってはならない」 福井選出国会議員 国に積極関与要求

 関西電力が原発の使用済み核燃料を中間貯蔵する候補地の一つとして、むつ市の中間貯蔵施設を福井県知事に提示したことを巡り、17日の参院資源エネルギー調査会で福井県選出の自民党議員が「立地同士、青森と福井が対立構造のようになってしまうことはあってはならない」と述べ、政府に積極的な関与を求めた。
 福井県内で40年超運転となる原発3基の再稼働を目指す関電に対し、同県は同意の議論に入る前提条件として、使用済み核燃料を中間貯蔵する県外の候補地を示すよう求めていた。関電の森本孝社長は12日、むつ市の施設を電力各社で共同利用する構想を「選択肢の一つ」として提示。杉本達治知事は再稼働議論への着手を容認した。
 一方、むつ市は13日に文書で「共用化について認めた事実も、議論を開始している事実もない」と反発。福井選出の滝波宏文参院議員(自民)は調査会でむつ市の見解に触れ、「国が一層、汗をかかないといけない」と対応を迫った。立地地域間で摩擦が生じかねない現状に「本来は使用済み燃料を出した大都会や消費地と、立地地域との問題のはずだ」と苦言を呈した。
 資源エネルギー庁の保坂伸長官は「関係者の理解の確保に事業者と共に最善を尽くしたい」と答弁した。
    (佐々木大輔)
KEY_WORD:MUTSU_RECYCLE_: