[2022_01_10_02]むつ市が「核燃新税」を大幅譲歩へ (東奥日報2022年1月10日)
 
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むつ市が「核燃新税」を大幅譲歩へ

 青森県むつ市は、リサイクル燃料貯蔵(同市、RFS)との間で使用済燃料税(核燃新税)の新設に向けた減免協議が難航している事態を打開するため、大幅な譲歩案を打ち出したことが9日、複数の関係者への取材で分かった。市の試算では、中間貯蔵施設で使用済み核燃料の貯蔵を開始してから5年間の税収は減免前の93億7400万円から、譲歩案では5億8400万円程度になる。市はRFS側に既に伝達しており、今後は3月の市議会定例会に条例改正案を提出。本年度中に国との協議に入る考えだ。
 核燃新税は市が独自に課税する法定外普通税。市は、2020年3月に制定した市条例で、使用済み核燃料のウラン重量1キロ当たり、受け入れ時に1万9400円、貯蔵に関しては毎年度1300円を課税するとしていた。県が他施設に課している核燃料物質等取扱税(核燃税)条例に倣った。
 譲歩案は、受け入れ時の課税を免除する。貯蔵は市条例の半額以下の620円で、新潟県柏崎市が原発での使用済み核燃料の保管に課している税率(経年累進分除く)と同額とした。
 むつ市の核燃新税を巡っては、特定納税義務者であるRFSが市条例制定後に、税が過重として、減免協議を申し入れた。市と同社は38回の協議を重ねてきたが、議論はかみ合わず、打開の糸口は見いだせていなかった。
 地方税法は「納税者の負担が著しく過重」などの要件に抵触しない限り、総務大臣は法定外税の新設に同意しなければならないと定めている。
 市は、RFSの「過重で事業が立ちゆかなくなる」との認識が今後、総務大臣の同意を得る上で支障になりかねないと判断。減免協議を通じてRFS側が示した懸念事項全てをクリアできる内容として、今回の譲歩案をまとめた。
 一方、RFS側はこれまで(1)親会社である東京電力ホールディングスが柏崎刈羽原発(新潟県)からの燃料搬出計画を示していない(2)このためRFSに具体的な燃料搬入計画はなく、核燃新税の税率などは判断できないと主張してきた。
 市はRFSの主張に変化がない場合でも、譲歩案を反映した条例改正案を3月の市議会に提出。可決されれば、核燃新税への総務大臣の同意を求めて協議に進む方針だ。
 RFSは県による課税の動向が見極められないことにも懸念を示していたが、市は譲歩案により、県が課税する余地も残し、RFSや県に配慮を示した。
 一方、県は1993年度から、独自の法定外普通税である核燃税を、県内に原子力施設を立地する事業者に課してきた経緯がある。まだ稼働に至っていない中間貯蔵施設についても「同様の取り扱いになるものと考えている」と県議会で答弁するなど、課税対象に含める方針を繰り返し示してきた。RFSの広報担当者は9日の取材に「現時点でコメントできない」と答えた。
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