[2020_11_13_02]「死の谷」を埋めて「死の灰」(負の遺産)を増やす原子力規制委員会 〜「六ヶ所再処理施設」合格、むつ「中間貯蔵施設」合格、女川原発稼働容認〜 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その235 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)(たんぽぽ舎2020年11月13日)
 
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「死の谷」を埋めて「死の灰」(負の遺産)を増やす原子力規制委員会 〜「六ヶ所再処理施設」合格、むつ「中間貯蔵施設」合格、女川原発稼働容認〜 原子力規制委員会は原発再稼働推進委員会!その235 木村雅英(再稼働阻止全国ネットワーク)

 11月11日の規制委定例会議でむつ市の「リサイクル燃料貯蔵株式会社リサイクル燃料備蓄センターにおける使用済燃料の貯蔵の事業の変更許可」を決定した。9月中のパブコメで約60件の意見を却下した上で合格とした。既に多くのメディが報道している。
 東電と日本原電が満杯に近くなっている核燃料プールから合計3000トンをこの施設に「中間貯蔵」し、50年後に元に戻す計画だ。定例会議では5人の委員があっさりと「合格」を認めた。六ヶ所再処理施設合格に続く暴挙だ。
 それでも、パブコメ意見を意識してか、山中委員が50年後の返還の約束について質問し、原子力規制庁担当が「50年後の10年程前に(移送)計画を確認する」と珍回答。
 傍聴席から「その頃にはここにいる人で誰が生きているのですか?」との声。この約束も「核のゴミ」(死の灰)をむつ市に押し付ける方便だ。
 それにしても、「核燃料サイクル」が破綻しており、「核のゴミ」の行き場が無くこれ以上増やしてはいけないことが明らかであり、2012年に日本学術会議が「高レベル放射性廃棄物の処分に関する政策の抜本的見直し」を提言(原子力委員会に回答)したのに、全く無視して、なぜこんないい加減な「核ゴミ」政策が進められるのだろうか。
 定例会議の動画を見ていてビジネスの世界で著名な「死の谷」(デスバレー)が浮かんだ。
 研究開発の結果が事業化に活かせない状況あるいはその難関・障壁を指す用語だ。
 経産省が進めている事業(原発再稼働、再処理、中間貯蔵など)を進めるのはどう考えても無謀であり、研究・計画段階から実際に実行するには深い深い「死の谷」を渡らないといけない。過去には現地に嘘と札束と暴力とでこの「死の谷」を埋めてきた。
 東電福島第一原発事故の後、原子力発電事業が、安全では無く、安価では無く、電力不足では無く、クリーンでは無く、準国産では無く、膨大な核ゴミ(死の灰)を製造するとんでもない事業であることが明らかになった。そう、多くの「国民」がこの原発事業の「死の谷」を認識しているはずだ。
 ところが、今や唯一の原子力規制行政機関である原子力規制委員会がこの「死の谷」を埋めている。新規制基準も審査も科学技術的に「緩やかに過ぎ合理性を欠く」ことは何度も述べてきた。
 それ以上に原子力規制委員会が罪深いことは、事業が不合理であることを全く無視して「安全性」だけをいい加減に判断して、原発推進の「死の谷」を埋めてしまうことだ。
 その証拠に、政府や経産省や電力会社は、安全性を原子力規制委員会が担保するならば原発推進するといい、事業の合理性の判断(死の谷)を横に置いてしまうのだ。
 なお、11月11日に村井宮城県知事が被災原発女川2号機の再稼働に同意すると表明した。国(規制委)の(不安全)審査を口実に、避難もできないのに。パブコメ後本年1月の院内ヒアリング集会で実用炉審査部門担当者が「審査中だから」と逃げ、先日も電話で回答を迫ったが折り返し電話も無し。
 ここでも原子力規制委員会は野党議員や私たち市民の追求から逃げて、被災原発を再稼働原発に橋渡ししている。
 原子力規制委員会が、原発事業における「死の谷」を埋めて、「死の灰」を増やす愚かな政策を支えているのだ。
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