[2020_11_19_02]女川原発再稼働へ…“どう逃げれば”住民が抱く不安〈宮城〉(仙台放送2020年11月19日)
 
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女川原発再稼働へ…“どう逃げれば”住民が抱く不安〈宮城〉

 11月18日、村井知事は原発再稼働の前提となる「地元同意」を国に伝えましたが、住民の不安はぬぐえないままです。万が一、原発事故が起きたらどう逃げればいいのか、女川町民は不安を抱えています。
 女川原発からおよそ8キロ、女川町の大原北地区。住民は300人あまり。このうちおよそ4割が、お年寄りです。
 村井知事が原発再稼働に同意を表明した3日後、11月14日夜に地区会が行われました。
参加住民
 「実際、原発事故が起きたら体一つで逃げるので精いっぱいだよ、おそらく。ここの人たち分からない。何をどうしたらいいか分からないね」
 区長の鈴木浩さん(73)をはじめ、多くの住民が原発で重大事故が起きた場合の避難方法について不安を訴えます。
 麻野俊男さん(98)
 「大渋滞が起きますよ。そういうシミュレーションをどういうふうに行政が考えているのか」
 麻野俊男さんもその1人です。98歳の麻野さんは出かける際に歩行器が欠かせません。
 国が定めた避難計画では、大原北地区の住民は、およそ65キロ離れた栗原市内の体育館まで、自家用車やバスで逃げることになっています。麻野さんは町が用意するバスに乗って避難します。
 しかし、どこでバスに乗れるのか、その場所まで果たして歩いて行けるのか「分からない」と言います。
 麻野俊男さん(98)
 「やっぱり細かい所までもっと情報が欲しい。国で言うような大ざっぱな資料が何百ページもあったって、そんなの住民が理解できるわけない、住民の本当の声を、まだ聞き取りが不足していると思う」
 一方、鈴木さんは区長として不安を抱く住民に説明するためにも、何度か避難ルートを視察しています。
 女川町大原北地区 区長 鈴木浩さん(73)
 「若柳の中を行くのに迷ったんです。橋渡ったりまた橋渡ったり」
 避難の際市や町をいくつもまたいで逃げる「広域避難」を強いられる大原北地区の住民が、地図通りに避難できるか危惧しています。
 女川町大原北地区 区長 鈴木浩さん(73)
 「ここには文字では書いてあるんです。ここで曲がって降りろとは書いてあるんです。でもこれじゃ年配の人は読めないです」
 原発再稼働へ突き進む女川町。事故時の避難計画の実効性を高めることが求められています。
 女川町によりますと、「国の避難計画をより簡潔にまとめて、11月末にも公開するほか、避難経路の視察を行い周知していく」としています。
仙台放送
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