[2021_06_01_04]南海トラフ 次は宝永型? 津波の痕跡からタイプ予測 超大型地震の可能性指摘(東奥日報2021年6月1日)
 西日本の太平洋側で想定されている南海トラフ巨大地震を巡り、過去に沿岸を襲った津波の痕跡の分析から、次に起きるのは江戸時代の1707年に起きた宝永地震と同じタイプのものになる可能性があるとの研究結果を、政府・地震調査委員で産業技術総合研究所名誉リサーチャーの岡村行信氏が31日、オンライン開催の日本地球惑星科学連合大会で発表した。
 宝永地震は紀伊半島付近で震源断層の破壊が始まり、静岡ー高知沖の広範囲が震源域となった南海トラフでは史上最大のマグニチュード(M)8・6とされる超巨大地震。岡村氏は「今後の検証が必要だが、地震のタイプによって将来起きる地震の揺れや津波の高さを推定できる」としている。
 岡村氏は過去の南海トラフ巨大地震を宝永地震のほか、幕末の1854年に起きた安政地震(東海、南海地震)の2タイプがあると指摘。宝永型は紀伊半島の地下、安政型は静岡、長野県境に当たる赤石山脈付近の地下から破壊が始まり、南海トラフ全体に広がるとしている。
 地震で津波が発生すると海岸付近に砂などが積もり、地層として残ることがある。岡村氏は、堆積場所の地形から津波が入ってきた方向が推定できることを利用し、痕跡を残した津波が宝永型か安政型かを分類できる可能性があるとした。
 これにより、2タイプがどの程度の間隔で起きているかを分析。前回の発生から300年以上が経ている宝永型が次に起こると予測した。
 海溝型地震は数百年間隔で起きるため、歴史資料が限られる時代のものは、津波の痕跡が大きな手掛かりとなっている。
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