[2021_11_04_04]「闘い続ける」住民ら落胆と怒り 広島地裁、伊方原発差し止め認めず(毎日新聞2021年11月4日)
 
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「闘い続ける」住民ら落胆と怒り 広島地裁、伊方原発差し止め認めず

 午後2時過ぎ。広島地裁前で「伊方3号機 差止ならず」と書かれた旗が掲げられると、集まった約30人の住民や支援者らの間に落胆の声が広がった。住民側弁護団長の河合弘之弁護士(77)が「粛々と闘いを進めていきたい」と広島高裁に即時抗告する方針を伝えると拍手が湧いた。
 決定後の集会で、弁護団は「常識に基づいた分かりやすい問題提起をし、判断を求めたのに、裁判所は主張を退けた。誠に不当な決定だ」とする声明を読み上げた。地裁決定は、安全性の審査は原子力規制委員会に委ねられているとして、基準地震動が妥当かを正面から判断せず、危険が差し迫っていることの証明を住民に求めた。
 河合弁護士は「原発について、司法が判断することを放棄した。住民に不可能なことを押しつける決定だ」と批判。基準地震動を超える地震について、「具体的危険性があるとはいえない」と地裁が否定したことについても、「(2011年の)東京電力福島第1原発事故の時、地震が来るぞと言った人はいますか」と疑問を呈した。
 差し止めを申し立てた原田二三子さん(62)=広島市安芸区=は「地震がいつ、どこで、どんな規模で起こるかという正確な予測はできない。古里を守るため、伊方原発を確実に止めるまで闘い続ける」と力を込めた。
 集会には、福井地裁で14年5月、関西電力大飯原発3、4号機の運転を差し止める判決を出した樋口英明元裁判長(69)も駆け付けた。「原発事故のもたらす被害は極めて甚大で、原発には高度の耐震性が必要。住民側の主張は極めて単純だ。地裁決定は裁判官として非常識かつ悪質で、高裁では常識的に判断してほしい」と求めた。【小山美砂、中島昭浩】

町長「安全対策に万全を期すよう求める」

 愛媛県伊方町の高門清彦町長は「町民の安心・安全を守るため、四国電力に対し安全対策に万全を期すよう求めていきたい」との談話を公表。四電は「当社の主張が認められ、妥当な決定だ」とのコメントを出した。【斉藤朋恵】

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