[2022_07_20_02]原発9基稼働も、需給逼迫 頼みは老朽火力―綱渡りの今冬電力見通し(時事通信2022年7月20日)
 
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原発9基稼働も、需給逼迫 頼みは老朽火力―綱渡りの今冬電力見通し

 今冬の電力需給逼迫(ひっぱく)対策として、政府は最大9基の原発稼働を進める。17日には定期検査中の大飯原発4号機(福井県おおい町)が運転を再開。来年1月までにさらに4基の稼働再開を見込むが、いずれも電力会社のスケジュールに沿った動きにとどまる。電力供給は、老朽化した火力発電所の再稼働に依存する綱渡りの状況が続く。
 国内の原発で原子力規制委員会の新規制基準に合格し、地元自治体の合意も得て稼働できる原発は計10基。このうち、大飯4号機を含めて6基が現在稼働中。今後、高浜3、4号機(福井県高浜町)、美浜3号機(福井県美浜町)、玄海3号機(佐賀県玄海町)が順次稼働を再開する。9月に定期検査で稼働を止める玄海4号機を除き、来年1月には9基で約900万キロワット分の電力供給を確保する。
 ただ、9基稼働はすでに電力会社の供給計画にほぼ織り込まれており、電気事業連合会の池辺和弘会長(九州電力社長)は「(需給が)厳しい状況に変わりない」と強調する。厳しい寒さを想定した場合、電力供給の余力を示す予備率は来年1月に、東京と東北の2電力管内で1.5%、関西や中部など6電力管内で1.9%と予想。安定供給に最低限必要な3%を下回る。
 このため、経済産業省は、火力発電で10基分となる360万キロワットを追加調達し、予備率を4%程度まで引き上げたい考え。ただ、老朽火力の再稼働には、古い設備にトラブルが頻発する恐れがあり、安定供給にリスクを抱える。
 また、稼働9基はすべて西日本に偏り、最も電力が逼迫する東日本は稼働ゼロ。西日本から東日本に電力を融通しようにも、送電網の容量は210万キロワットと小さいままだ。
 地元同意のめどが立たない柏崎刈羽(新潟県柏崎市、刈羽村)や東海第2(茨城県東海村)の再稼働が見通せない中、萩生田光一経産相は「国も前面に立って、地元の理解を得られるように粘り強く取り組みたい」と述べている。
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