[2020_05_11_03]低レベル返還 延期続く 英仏から 原発事故後の新規制で(東奥日報2020年5月11日)
 
 日本原燃の施設には、海外返還の高レベル放射性廃棄物だけでなく、地層処分が必要となる「低レベル放射性廃棄物」も運び込まれる。2013年にも搬入が始まる予定だったが、福島第1原発事故を教訓として新しい規制基準が各原子力施設に課され、いまだ輸送には至っていない。
 フランス分の低レベル廃棄物は、せん断した燃料被覆管など固形物収納体が最大4400本(想定約1700〜2600本)、低レベルのガラス固化体が、最大28本(想定10本程度)。一部は、規制委の許可などを経て高レベル放射性廃棄物貯蔵管理センターに保管するが、原燃は将来的に、返還低レベル廃棄物やその他の廃棄物を保管する施設を新設する構想を抱く。ただ「詳細は今後、決定する」(担当者)という。
 返還の見通しについて、電事連の担当者は「各電力会社はフランスの事業者に対し、原燃の施設が審査への対応を続けていることを説明した上で、返還時期などの協議を進めている」とし、「電事連としても早期返還完了を目指して努力していく」と説明する。
 一方、英国への委託分では約9200立方メートルのセメント固化体などが発生したが、高レベルのガラス固化体約70本に置き換える「単一返還方式」を取ることとしている。
 返還低レベル廃棄物を巡っては10年、「13年の返還開始が遅れると国際的信用を損なう恐れがある」として、国や電事連などが県と村に受け入れを要請し、両者が容認した経緯がある。県は受け入れに当たり、高レベル放射性廃棄物同様、国と事業者から「本県を最終処分地にしない」「保管後は速やかに県外に搬出する」との確約書を取り付けている。  (加藤景子)
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