[2020_05_11_04]六ケ所・高レベル廃棄物貯蔵センター 審査終盤 近づく「合格」 原燃、11月操業再開目指す(東奥日報2020年5月11日)
 
 海外から返還されたガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)を一時保管している日本原燃の貯蔵管理センター(六ヶ所村)は、原子力規制委員会による安全審査が最終盤となっている。原燃は審査「合格」後、今年11月の操業再関を目指す。最初の固化体が搬入されたのは今から26年前の1995年4月。県、同村との約束である「30〜50年」の保管期間は折り返しを迎えたが、固化体を埋め捨てる最終処分場の選定は一向に進んでいない。
 原燃によると、同センターの貯蔵容量は2880本。ガラス固化体は貯蔵ピットに縦に重ね、空冷しながら保管している。フランス分の1310本は2007年3月に返還が完了、英国分は16年10月までに520本を受け入れ、約380本が残っている。
 原燃は14年1月に、同センターや再処理工場など5施設の事業変更許可を規制委に申請した。同センターについては、今年3月までに主要な議論が終了、審査「合格」が近づいている。今後は規制委の認可を受けた上で耐震補強などの工事を行う予定で、増田尚宏社長は「準備は整っている。効率的に工事を進めたい」と説明する。
 エネルギー資源に乏しい日本は、原発の使用済み核燃料からプルトニウムを取り出し、MOX(ブルトニウム・ウラン混合酸化物)燃料として再度、発電に使う方式を採用してきた。六ヶ所村に再処理工場が建設される以前に、国内の電力会社は英仏に再処理事業を委託。電気事業連合会〔電事連)によると、委託した使用済み核燃料の総量はフランスが約2900トン、英国が約4200トンに上る。
 英仏でつくったMOX燃料が日本の原発に輸送されるのと同時に、廃棄物も順次、返還されてきた。輸送を待つ英国分の約380本について、電事連の担当者は「受け入れ・貯蔵に関わる審査に原燃が合格し、耐震補強工事が完了した後に返還を予定している」と見通しを示した。
 最初の受け入れから既に25年。一方で、「行き先」となる最終処分場の選定は難航を極めている。
 今年3月、就任あいさっのため県庁を訪れた電事連の池辺和弘会長は、三村申吾知事に「国や(処分場の選定作業を担う)NUMO(原子力発電環境整備機構)と連携し、処分場確保に向けて全力で取り組む」と決意を語った。しかし、処分場の選定調査と施設の建設にはおよそ30年が見込まれ、「50年」の期限を迎える2045年までの処分場完成は極めて厳しい情勢だ。   (加藤景子)

 ガラス固化体(高レベル放射性廃棄物)

 原発で燃やした使用済み核燃料を化学処理してウランとブルトニウムを取り出した後に、極めて強い放射線を出す廃液が残る。この廃液と溶かしたガラスを混ぜて冷やし固めたものが固化体となる。電気事業連合会の史料によると、六ヶ所村の再処理工場がフル稼働すると1年間に約千本が発生する見込み。最終的には地下300メートルより深い場所に埋めて粘土の緩衝材で覆う地層処分を行い、数万年以上、生活環境から隔離する。
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