[2021_02_01_01]高レベル処分場 受け入れ否定 8割 全市区町村アンケート 忌避感 依然根強く 県内は31市町村否定 「確約」重視や風評懸念で(東奥日報2021年2月1日)
 
 原発から出る高レベル放射性廃棄物(核のごみ)の最終処分で、全国の市区町村の約8割が処分場受け入れに否定的なことが31日、共同通信のアンケートで分かった。最終処分の関連法成立から20年を経て昨年11月、処分場選定の入り口となる文献調査が北海道の2町村で開始。しかし多くの自治体では依然、処分場への忌避感が根強いのが現状だ。
 アンケートは昨年10〜12月、全市区町村に実施し、うち1469自治体が答えた。処分場受け入れ可否の設問に「受け入れる考えはない」と否定したのが80・9%。検討したことがないなどで「その他」が13・9%、無回答が5・1%だった。文献調査が始まった北海道の寿都町と神恵内村だけが「受け入れることがあり得る」と前向きな回答をした。
 否定の理由では「安全性に確信を持てない」「風評被害が懸念される」「住民の同意、理解が得られない」といった記述が目立った。2017年に国が公表した適地マップを引き合いに「適地でないため受け入れられない」とした自治体も多かった。
 北陸電力志賀原発が立地する石川県志賀町は「目のエネルギー政策に責献し、社会的責任は果たしている」と強調した上で処分場は受け入れない考えを表明。愛知県豊根村も受け入れを否定しながら、文献調査などの実施で国から数十億円単位の交付金が支払われることについて「財政力の脆弱な市町村からの受け入れ希望が増加すると考える」との見方を示した。
 原発の使用済み核燃料を再処理した際に出る廃液をガラスで固めたものが核のごみで、現在は青森県六ヶ所村と茨城県東海村の施設で一時保管されている。特定放射性廃業物最終処分法が00年に成立し、核のごみを地下深くの岩盤に埋めて地層処分する方針や、最終処分場選定の進め方が定められた。

 県内は31市町村否定 「確約」重視や風評懸念で

 共同通信が実施したアンケートによると、本県では31市町村が高レベル放射性廃棄物の最終処分場を「受け入れる考えはない」と回答した。「その他」は7市町村で、このうち原発が立地する東通村など3自治体が「検討したことがない」と答えた。新郷村は「現時点ではどちらとも言えない」、野辺地町は「分からない」とした。五所川原市と佐井村は無回答だった。
 「その他」とした今別町は、「検討する価値はあるのではないかと思う」と記述。ただ、町担当者は本紙取材に「担当レベルの意見で、町として検討している事実はないし話題にも上がっていない」と説明した。「検討価値がある」とした理由を「人口減少や少子高齢化の進展が確実な自治体にとって、人口増や働く場を得ていくためには有効な手段」としつっ、「住民や近隣市町村の理解が得られるかという重要な問題がある」と回答した。
 受け入れを否定した自治体のうち、理由として「本県を最終処分地にしないJとする県、国の確約に触れたのは6市町。これに加え平内町は「風評被害による産業への悪影響は計り知れない」とした。
 大間町も、風評被害などを挙げ「住民から理解を得られない」との認識を示した。五戸町は「住民にとっては負の遺産。廃棄物処理の問題を解決せずに原子力発電を続けるのは国の責任」と断じた。
 東通村は「最終処分は早急に解決すべき重要な課題」と強調した上で、「全国民が原子力発電や核燃料サイクル、最終処分にきちんとした認識や意識を持つとともに、最終処分地を受け入れた自治体に最大限の敬意を払うことが必要」と記した。国に対しては「自治体の負担を軽減し、原子力政策に積極的に協力できる環境整備の強化を」と求めた。
 処分場選定で特に重要と考え施策は、4分の3以上の自治体が「安全対策」「国が責任を持つ」「住民らへの説明」を選んだ。「風評被害対策」も割合が高かった。
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